イメージ 1

 今日は久しぶりにフィリピン料理をご紹介しましょう。その名も「ティノラン・マノック」。日本風に言えば、「鶏と青パパイヤのスープ」といったところでしょうか。
 この料理は、私たちがO村に調査旅行に行くと、決まってどこかのお宅でおもてなしに預かる料理です。つまり「お祭り料理」とまでいかないけれど、ちょっとした訪問者がある時に作る「おもてなし料理」という訳です。
 とにかく、この料理はどこの家庭で食べても、とっても美味しいので、私たちの大好物。最初の頃は、あまりに美味しいので、よく作り方を尋ねていたのですが、いつも

「こんなの簡単だよ。」

とそっけない返事が返ってきました。その時教えてもらったレシピに、私たちが手伝ったりしながら観察したところを総合しますと、こんな感じの作り方です。

<ティノラン・マノック@O村>

【材料】
●鶏…1羽 → さばいて、きれいに洗い、ぶつ切り
●赤玉ねぎ…小5~6個 → みじん切り
●青パパイヤ…中2~3個 → 種を除いて、一口大に切る
●マルンガイの葉、あるいは、唐辛子の葉…ザル大に軽く1杯程度
●ニンニク…2~3かけ → たたいてつぶす
●ショウガ…1かけ → たたいてつぶす
●水…2~3リットル

●塩…適宜
●オイル…適宜

【作り方】
1) 鍋にオイルを熱し、ニンニク、ショウガ、玉ねぎを加える。
2) 香りが出たら、鶏を鶏がらや内臓も含めてすべて加え、軽く炒める。
3) 水を加え、鶏肉に火が通るまで煮る。
4) 鶏肉に火が通ったら、青パパイヤを加え、塩で味を調える。
5) 青パパイヤに火が通ったら、マルンガイの葉、あるいは、唐辛子の葉を加えれば、出来上がり♪

 もちろん、私たちからすれば、鶏をさばくのは一大事業という感じがしますが、O村の人にとっては、魚をさばくよりは手間だけれど、まぁ日常的な作業の1つといった感じなので、どうといった事はないのでしょうね。それに、鶏をさばくの以外は、確かにかなりシンプル。でも、これが本当にとっても美味なのです!私たちなりに、その美味しさの秘密を考えると、やはり鶏を1羽さばいて、鶏がらや内臓まで全部入れるので、鶏の美味しいダシが十二分に出ているのだと思われます。やはり「本物の鶏がらスープに勝るものなし」ですね!

 さて、食い意地のはっている私たちの事、こんなに美味しい料理を自分達でも一度作ってみたいと思い続けてきたのですが、フィリピンにいた時は、O村で鶏のさばくを手伝った事はあっても、自分達だけでは心もとない限りですし、自分達だけで食べるのに、鶏を1羽さばく訳にもいきません。日本に帰ってからも、最近、処理済のホールチキンを扱っている所もありますが、やはり鶏1羽は多すぎますし、青パパイヤなど他の材料が手に入らないので、長らくかなわぬ夢のままでした。
 ところが、先日、いつもの共同購入カタログを見ていると、何と青パパイヤが出ているではありませんか!(歓喜)お値段は沖縄産で少々高目だったのですが、この機会にティノラを作らずして、いつ作るのか!とついに決心し、ゲットしてしまいました。(苦笑)
 が、ここにまだ問題が…。そう、やっぱりホールチキンはちょっと多すぎるし、コストもかかり過ぎます。でも、例え骨付きでも切り身では絶対あの味は出ない気がしましたし、ましてやチキンブイヨンなどは言語道断。で、う~~んと悩んだ末、

「そうだ、鶏がらをゲットして、鶏がらスープを作ったら、コストもかからず、美味しいダシが出せる!」(ピッカーン)

と思い至ったのでした。(大そうな 笑)
 という事で、今日は「変形ティノラ@ラピパペバージョン」のご紹介です。
 まずは、鶏がらスープの材料と作り方から。

<鶏がらスープ>

【材料】
●鶏がら…1羽分 → ぶつ切り
●ニンニク…1~2かけ → 包丁でたたく
●ショウガ…1かけ → 包丁でたたく
●玉ねぎ…1個 → みじん切り
●水…2リットル

【作り方】
1) 鶏がらをたっぷりの水にいれて、火にかけ、沸騰して表面が白っぽくなったら、お湯をすて、鶏がらを水洗いする。
2) 1)の鶏がらと残りすべての材料を圧力鍋に入れ、20分程度煮る。
3) 圧力鍋を水で冷やして圧を下げてから蓋を開け、ザルかペーパータオルで漉して、スープだけ取る。

 鶏がらはスーパーで1羽50円程度で売っているので、圧力鍋を使えば、かなり安くて手軽に美味しいスープが作れます。ネット上でも鶏がらスープのレシピはたくさん紹介されていますので、それらを参照してお試し下さい。例えば、私たちはこんなサイト(→http://www.ecorient.co.jp/hmp/mm/119/)を参考にしました。ただ大抵のレシピでは、臭みを消すためネギを使っているのですが、今回はティノラを作るのが目的なので、フィリピンで使わないネギは使わず、ニンニクとショウガに玉ねぎを加えてみました。

 さて、次はいよいよティノラン・マノックの材料と作り方です。

<ティノラン・マノック>

【材料】
●鶏肉(モモ切り身)…300g
●玉ねぎ…中1個 → みじん切り
●青パパイヤ…大1個 → 半分に割って種をとり、一口大に切る
●シシトウ…4~5本
●唐辛子…1~2本
●ニンニク…1~2かけ → みじん切り
●ショウガ…1かけ → みじん切り
●バジルの生葉…2~3枚

●塩…適宜
●魚醤…適宜
●バージン・ココナッツ・オイル…適宜
●鶏がらスープ…約2リットル

【作り方】
1) 鍋にオイルを熱し、ニンニク、ショウガ、唐辛子を入れ、香りが出たら、玉ねぎを加えて炒める。
2) 玉ねぎが透き通ってきたら、鶏肉を加え、表面が白くなるまでに炒める。
3) 2)の鍋に鶏がらスープを加え、鶏肉に火が通るまで煮る。
4) 青パパイヤ、シシトウ、塩、魚醤を加え、青パパイヤに火が通るまでさらに煮る。
5) 青パパイヤに火が通ったら、器に盛り付け、バジルの生葉を飾れば出来上がり♪

 ご覧の通り、O村バージョンとは大分違っています。実はこれ「たまたま」そうなったと言ってもいいぐらい、いい加減な理由なのです。(汗)
 例えば、バージン・ココナッツ・オイル。このレシピを作った時、事務所にはオイルというと、オリーブ油しかありませんでした。というのも、近くのスーパーで長らく、いつも使っているべに花油がセールにならなかったからです。(笑)そのため、それまで、どんな料理にもオリーブ油を使っていたのですが、このレシピばかりはオリーブ油じゃちょっと風味が違い過ぎるしねぇ~と悩んでいたところ、またまたひらめが!

「そうだ!この間、フィリピンで貰ったバージン・ココナッツ・オイルがあった!確か、料理にも使えると言ってたから、あれを使おう!」(キラ~ン)

てな訳で、使ってみたところ、ココナッツ・ミルクのような甘い香りが加わって、フィリピンのティノラとはひと味違いますが、なかなかいけます♪
 ちなみに、フィリピンの食用油の多くは、ココナッツを原材料としているのですが、普通に売られているのはもっと精製されていて、他のコーン油などと比べれば、まだどこか甘い香りはするものの、はっきりしたココナッツ独特の香りはなくなっています。

 次に、最もフィリピンらしくない材料は、バジルの生葉。(汗)正直、これまでフィリピンで、バジルの生葉にお目にかかった事はありません。じゃあどうして入れたの?言われそうですが、本当は唐辛子の葉を入れたかったのです。去年だったら、ちょうどヴェランダで唐辛子を栽培していたのですが、今年は唐辛子の代わりにシシトウが植わっています。いくら同じ仲間だと言っても、唐辛子の葉とシシトウの葉では味が違うかも?と心配になり、どうせ違うんだったら、味を知っているバジルの葉を入れてみましょう、という事になったのでした。
 もちろん唐辛子の葉とは全く違う味ですが、これはこれで意外にマッチしていて、かなりエスニックなインパクトが加わったように思います。もし、「唐辛子なら栽培してるよ」という方は、唐辛子の若い葉っぱを、一掴みほど入れて頂ければオリジナルに限りなく近づきます。
 また、少しでも唐辛子の風味をつけるために、唐辛子も入れてみました。フィリピンの人は辛いのが苦手な人も多いので、オリジナルには入っていない事が多いのですが、切らずに入れれば、風味だけで辛くならずに済みます。

 で、最後に魚醤ですが、これはO村ではあまり使われないものの、マニラなどの都会では一般的な調味料で、ティノラン・マノックにもよく使われています。これまたエスニックな香りが~。

 と、こんな風に紆余曲折を経て出来上がったティノラン・マノックですが、フィリピンのオリジナルとはひと味違う、どこかタイ料理なども彷彿とさせるエスニックなレシピとなりました。
 …なんて書いていたら、また食べたくなってきた!どこかに青パパイヤ売ってないかなぁ~。あっ、ひょっとして、冬瓜なんかでも代用できるかも?(垂涎)

                           パペル(Papel)