親から食堂を引き継いだKさん。

悩みもなければ目標もないというのが、

“問題”でした。


そして、瞑想を行うことを勧めました。


後日、Kさんから聞いた話をまとめると、

次のようになります。


彼はひとりの時間と空間をつくるため、

車で近くの河川敷までいき、車の中で、そのまま

リクライニングを倒してゆっくりと瞑想したようです。


そこで私が与えた暗示の言葉を繰り返しました。


「自分は願望達成に向かって

 活き活きと生活している」


願望が決まっていないので、潜在意識へイメージを

送ることができませんので、言葉による暗示効果を

与えたわけです。


やがて、潜在意識が反応しました。


ある日、河原で瞑想を続けていた彼は、瞑想しながら

ウトウトと眠ってしまったようです。


そのときにみた夢にヒントが隠されていました。


その夢は、彼の少年時代の夢でした。

みかん箱の机に向かって一生懸命に漫画を描いている

姿でした。
それを傍らで、幼い妹がみていて「早く早く」とでき上がりを

せがんでいました。


目覚めた彼は、子供のころは漫画家になることが

夢だったをことをを思いだしたのです。


その日以来、彼の生活は変わりました。


家業の傍ら、夜遅く食事をすませると、

黙々と漫画を描きつづけたのです。

もちろん奥さんや子供たちは驚いたようですが、

それでも、別にお金のかかる趣味でもないので、

見守ってくれたそうです。


描いているうちにだんだん欲もでてきたようです。

彼はどこかに作品を投稿し評価を得たいと思うように

なったといいます。


数か月後、ある懸賞で入選し、佳作に選ばれました。


Kさんは、プロの漫画家になろうとは思っていませんが、

趣味として今後も描き続けたいとのことで、

食堂には今月のメニューと共に彼の描いた漫画が

毎月掲げられているとのことです。


それ以来、店の売り上げも上向いているとのことで、

先代の父は息子の豹変ぶりに目を細めて、

私に感謝してきましたが、私は何もしてないのも同然で、

息子さんの潜在能力の高さを褒めたたえてあげました。


私もこんな展開になるとは思いも寄らず、

まさに潜在意識のすごさを思い知らされた例でした。


(続く)