今よりずっと若かった頃、物書きに憧れていた事がある。
自分の世界を表現できる夢のような仕事。
なんて、
ほら、安っぽい、錆び付いた表現だろう。
これじゃあ、無理なわけだ。
目の前にある白い便箋にすら、何一つ書けないのだから。
遺書。
すべてにピリオドをつける為の、最後に遺せる、唯一の自分の表現なのに。
ここまできて挫折するわけにはいかないけど、
残念ながら、また日常の中に戻る時間が来てしまったようだ。
やっぱり、
日常とはそんなものの積み重ねだ。
変わっていくのは、
いつもとは違う、
外の無垢な世界だけだった。