捨てた。
もう二度と袖を通すことのない、彼の日常がつまった、彼の洋服。
二人の生活の中では当たり前に着てたけど、
今はもう、それは悲しみの素材となって、しまったままの月日は、いつの間にか流れてた。
なぜ、今なのか、自分でもわからないけど、
いつか捨てられる日がきたら、それに従おうと思ってたから。
意外に早かったのかもしれない。
客観的に受け止められる事が少し淋しくて、切ないけど。
愛しすぎて、頑なだった気持ちが少しほぐれたのかな。
もう物質としては存在しなくても、思い出は、ずっと心の中で生きてる。
あの日に、あのひとが着てたもの、私は忘れないよ。
今まで寄り添ってくれて、ありがとう。
そして、さようなら。