悩みながら、体は動かしていました。
まずは試奏に行きました。
あまり弾きすぎるとよけいにわからなくなるので、数件。
予算を明確に伝えて、用意をしてもらって行きました。
もちろん、予算より少し高い楽器も出されています。
試奏していると、もっと高い楽器も出てきます。
弓もどんどん、良い弓を出してくれます。
高いといっても、楽器屋さんからしてみたら安物レベルなのですが・・・
ぶっちゃけ、音は良いのよ。
トニヨと違う音がするのはわかる。
そして、その度合いは、高くなればなるほど、違う。
弓だって、イマイチの楽器をイマイチの弓で弾いたらダメだけど、イマイチの楽器でも、良い弓で弾けばとたんに良い楽器になる。
欲しい?と訊かれたら、欲しいと思う。
それも、すごく欲しいなぁ、と思うのは、予算を軽くオーバーした楽器を弾いたとき。
ならさ、予算を軽くオーバーした楽器を買えるまで、貯金を続けるべきじゃない?
いまの楽器に不満がある訳じゃなし。
新作くんがすごく違う音がするの?と訊かれたら、違う音はするんだけれど、トニヨと傾向が同じと思う。
でもそれもふーたの『思う』だから、はっきり言える訳じゃない。
でもな。
明確なのは、どんないいバイオリンも欲しい!!すごい!!とは、思わなかった。
そしてそれは、あれほど恋い焦がれていた楽器屋さんのお目当てのバイオリンを弾いたときも、それは思いませんでした。
いや、良い音だったんだけどね。
何より違うのは、ATMの前でお金を出している自分を想像できたのは、新作くんを弾いたときだけだったのさ。