イツァーク・パールマン | 「魔法使い」の弟子

「魔法使い」の弟子

シロートの、シロートによる、
シロートの為のオンガク日記

ふーたが、はじめてユーチューブの映像で見て、聴いた、

有名海外ヴァイオリニスト。


それが、彼でした。


このひとが、基準となったため・・・

その後、色々のヴァイオリニストの演奏を見ましたが、


なんでこんな、苦しそうに、嫌そうに弾いてるんだ?


と、思ってしまうようになりまして・・・


奇しくも先日、師匠から


「は?パ-ルマン?そんな技巧を、おまえはもっとるのか大バカモノめ」


と、レッスンで話題になったばかりで・・・

ううん。話題がホットだわ。


閑話休題。


彼もいい歳なので、きっと、来日は最後なんじゃないか?

ともささやかれておりまして・・・

もう、清水の舞台から飛び降りる覚悟で、チケットを買いました。


海外ソリスト。

高いのよ。

しかもまともに知ってる曲、一曲もないし・・・


このチャンスを無駄にしてはならぬ!

と、予習しました。


えっと・・・モツァルトのソナタでしょ?

クロイツェルと・・・ブラムスと・・・


とにかく、つけ焼き刃で!

(堂本光一のCD聴く合間に・・・)予習しました。


が、クロイツェル3楽章で、撃沈。

いやぁ、フラジオレットやハイポジの重音も、安心感があってさ・・・

まったくハズす不安感がないんだよね。

微妙に違くてもそこはポルタメントできゅっと味にすると。

こんなに完璧な演奏、完璧な音程は、はじめての経験で、

うっとり眠ってしまいました。ハイ。


いや、さらに言い訳するとね。

この曲、第3楽章、同じ音形が続くのよ。

ベトベン特有の・・・しつこさ?

(5番の運命なんかどんだけ扉を叩くねん?!とツッコミ入れたく・・・なりませんか?)


2幕はブラムスとシューマンと小品。

小品の曲目紹介はパールマンが自らしてくださいました。


楽譜をピアノさんに向かって投げ付けたり、

弓で譜面をめくろうとして、失敗してバシバシ譜面を弓で叩いたり

(ひー!ストラディバリに見合う弓でそんな小芝居しないでー!!)


お茶目なおじさま全開でした。


パ-ルマンの声は、優しくて、低い声で、

ふーた(英語レベルは中学生)にもわかるような、きれいな発音の英語で、

題名を紹介してくれました。


・・・もうこの小品コーナーだけで充分!というくらい。

充実した曲目でした。


で、ちゃんと勉強してきたこと。


弓使いがね。すごいんだよ。

左手の指がメタボ気味でグローブみたいな手のくせに

クルクルすごいスピードで回ることとか、

ビブラートが半端なく自在にかかってることとか、それもすごい。


でもね。


右手!

指弓!

指弓マックス?!


なんつーかね・・・

アップしながら、ダウンに向かう?

いやいや、サルタートの時やスピカートの時の手首の動き?

もう、見たことが無いくらい、弓との一体感?


この右手の動きが、あの甘い音を生み出すのかと思いました。


んで、ピアノさん。

今日のピアノもスタインウェイ。


ですが・・・

一幕と二幕の幕間に、ハンマーを持った怪しげなおっちゃんが登場し・・・

調律開始。


幕間に調律。

初めて見ました。

小品でガーシュウィンの曲をやったのですが・・・

ピアノ!カッコイイ!!


ジャズの色っていうか・・・

この時、いつか、ラプソディーインブルーをピアノで弾こうと心に決めたのでした。



ほんとうに、これが世界なのか!!と、心の奥から思いました。

音がね・・・

深い色の、柔らかいシルクの布みたいにホールに織りあげられてゆくような・・・


大きな雲の上の、立派な祭壇の上に、オンガクの神様がいて・・・


ふーたみたいな、趣味のオトナレイトヴァイオリン弾きはね、

雲の下の、階段のずうっと下の、隅っこにいて、

ときおり聞こえる、神様の声や、

チラッとだけ見える神様の姿に一喜一憂したりしてるんだ。


そんな趣味のバイオリン弾きさんの中でも、上手な人とか、センスあるヒトなんかは・・・

階段の近くだったり、もうちょっと、階段にちかい、

神様がよく見える場所にいるのかな・・・


うちの師匠や、こないだの・・・葉加瀬太郎さんは・・・

神様と同じ、雲の上だな。

雲の上に住んでる人。

それで、ときおり、神様とおしゃべりしたり、

もしかすると、神様に名前を覚えてもらったりしてるかもしれない。

そんな感じで・・・


たぶん、パールマンとか、ハイフェッツとか、クライスラーとか、

そういう人たちは・・・祭壇のいちばんそばにいるんだと思う。

だから神様にささげるような、あんな綺麗な音が出せるんだろうな。


まあ、そんなことをおぼろに思いました。


自分の耳の身の丈にあった演奏は、どれか?となると・・・

ちょっとふーたにパールマンは、早すぎるのかな?という感はありますが・・・

(やっぱし生で見るなら、お祭り騒ぎな葉加瀬さんのほうが、ふーたは好きです。)


ここで、秋のコンサートラッシュは一段落です。

明日は久々に・・・おうちでのんびりの日なので・・・

がっつりと、ザイツのコンチェルトを仕上げにかかりたいと思います!!