2003年に施行された指定管理者制度。

 

今では、美術館・博物館などの文化施設をはじめ、

公園、スポーツ施設などほとんどの公共施設の管理は、

指定管理者によるものとなった。

 

10月23日の日本経済新聞では、その功罪を紹介している。

川崎市民ミュージアムは、2017年に指定管理者制度を導入した。

19年に襲った台風被害で、地下の資料庫が水浸しになってしまったが、

何から手を付けていいのか見当がつかなかったらしい。

 

その原因は、学芸員20人のうち10人が入れ替わり、

地道な郷土史研究などが引き継がれなくなったから

資料の価値がわからなくなってしまったようだ。

 

もちろん、指定管理者制度を導入したことで

集客力のあるイベント開催などにより

入館者数は年間10万人増え、30万人を超えるようになった。

 

しかし、待遇引き下げや収益力、集客力の低い分野への不理解などから、

やりがいを失い、転職する人が後を絶たない。

 

この制度は、複数年の長期継続契約ではあるが、

それでも数年すれば選定の見直しがあり、事業の継続性は失われる。

 

これまでも本稿で書いてきたように、

日本的経営の良さを見失い、

あたかもアメリカの合理性が素晴らしいかのごとく、

短期利益に目がくらみ、目標主義、成果主義に傾倒してきたが、

ここにきて置き換わりが始まっている。

 

短期で事業を切り売りすると、下請けや地域の技術力が損なわれるのと同じ、

短期で成果を求められる指定管理者制度の下では、

地道な研究成果やノウハウ、技術が価値を認められないまま

終わってしまうのと同じ現象だね。

 

短期に成果を求めたらいいってもんじゃあないと思うよ。