高遠そば ますや 2026/4/12 | foo-d 風土

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 福島県会津地方で受け継がれてきた郷土蕎麦に「高遠(たかとお)そば」があります。

辛味大根のしぼり汁に焼き味噌を溶かしたつゆで食べる辛つゆそばのことで、会津若松市では「飯豊権現蕎麦 桐屋 権現亭」、「徳一」「蕎八 かやの」等の有名店のほか50軒以上、福島県全体では7、80軒かそれ以上の店で提供されているようです。では、この高遠とはなんのことかご存知でしょうか。

高遠さんという人が作った? 高遠という地名?でしょうか?。

 

それは

 

 長野県伊那市高遠町のことです。

 

 では、なぜ福島県会津地方の蕎麦に信州の高遠の名が付いたのでしょうか?

 

江戸時代初期 会津藩の祖、保科正之に由来します。

1611年(慶長16年)二代将軍徳川秀忠の四男として生まれた正之は、7歳で信州高遠三万石の保科正光の養子となり、保科正之と名乗ります。

日本でそばを麺状に切って食べるようになったのは、(記録の最古のものは1574年(天正2年 織田信長が武田氏を破った長篠の戦いの前年)に長野県木曽郡大桑村の定勝寺の仏殿修理を行った記録の中ですが)この頃からで、まだ日本各地ではそばの実を煮たり団子状などで食べられていました。

 また、醤油は室町時代後期に登場しますが、江戸時代初期まではまだ全国に普及していなく、蕎麦は、辛み大根のおろし汁と焼き味噌で食べる「からつゆそば」が一般的でした。

 正之はこの高遠で蕎麦好きになります。

21歳で高遠藩主となった後、26歳で山形藩主となり、33歳(1643年(寛永20年))で会津藩初代藩主として会津に行きます。本来なら松平を名乗れば良いのですが、養父の恩を忘れず生涯保科正之で通します。

 会津藩主として会津へ移った際に、高遠の蕎麦打ち職人も一緒に連れて行き、高遠のそば文化と「大根おろし・焼き味噌で食べる「からつゆそば」」のスタイルが家臣や民とともに伝わり、会津地方でも同じ食べ方が受け継がれ広く普及し、この食べ方を高遠に由来して「高遠そば」と呼ばれ親しまれてきました。

それから380年、長野県伊那市で、会津地方に「高遠そば」というものがあり、それは高遠城主の保科正之が会津にもたらした「からつゆそば」から付けられているということがわかり、1998年以降、その名が伊那市に逆輸入されて、伊那市高遠町でも高遠蕎麦という名で提供されるようになりました。

 私は蕎麦好きで日本中の美味しいと言われる手打ち蕎麦店400店舗ほどで食べてきましたが、30年ほど前に、会津若松の桐屋 権現亭で飯豊権現蕎麦(いいでごんげんそば)や、高遠蕎麦などを食べていますが、おいしいです。

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 桜の咲く毎年3月末から4月中旬は、毎年毎週桜を眺めに出掛けています。

まず、早咲きの桜を求めて京や滋賀、名古屋等、西や南の地方へ行き、翌週は地元や咲いていそうなところへ、 打ち止めとして北や東の方面、南信州では高遠、駒ヶ根等へ行っていますが、今年も打ち止めは南信州。

 今回は「天下第一の桜」と称される高遠城→六堂堤という16000㎡もある大きな池の周りぐるりと桜満開→池のほとりを囲うようにソメイヨシノと大きなミツバツツジがほぼ同時に何十本も咲く馬見塚公園へ巡りました。

お昼は当然蕎麦ですが、高遠へ行く時は「高遠そば ますや」が定番です。

 ところが、ますやのある場所が問題。

桜まつりの高遠城のすぐ近くを通らねば到達できない店なので、桜まつりの時は道が大渋滞。小黒川ICから13kmなのに1時間以上進まないこともある大変なところにある。

 また、まつやは11時オープンですがいつも開店1時間前から客が並びオープンする前に1日分の蕎麦が売り切れてしまうこともある店。

数年前は11時に着いたらとっくに完売で、

 昨年は出発が遅れて10時 30分到着でしたが、オープン30分前で、諦めていたがやはりとっくに売り切れでした。

今年 2026年4月12日

これらの事を予測して、なんとか開店の1時間以上前に行こうと、大きく迂回して裏道のさらに裏を通って、なんとか開店の1時間10分前、9時50分に到着。

 

 

 順番表に書き込もうと見たら

なんと!。1番だった。しかし、10時になると車が続々やってきて順番表はすぐに埋まり、その後続々と客がきます。

 

外のベンチで1時間待ち ようやく入店。

 

1番で奥の席に案内され、

注文を聞かれ、

我々の注文が終わるまで次の客は外で待っている。

注文終わると2番目の客を案内され、

一組ごとに注文を聞き、次を入れていくスタイル。

 

  ………………  

 

 余談ですが、

私が打つ超々粗挽き蕎麦は、丸抜き(黒く固い鬼殻を剥いたそばの実)の挽きぐるみを篩いを使わないで、自家製石臼で手で挽いた一度挽きにしていて、蕎麦粉の粒子は微粉から最大で4メッシュ(約5mm位)位と日本で一番粒子の粗い超々粗挽き十割蕎麦で、太さは3.5mm位と超々太打ちです。

 丸抜きで、鬼殻を入れない、苦味エグ味のない、そばの旨みだけをじっくりと引き出した蕎麦で、超々太打ちを噛み締めながら蕎麦本来の究極の甘み旨みを実感して楽しんでいただく蕎麦ですが、

 私の造るものとは、同じ蕎麦でも別の世界で、ますやさんで出される蕎麦は全て鬼殻入りの黒っぽい蕎麦で、鬼殻の苦味、エグ味、旨みを一緒に楽しむ蕎麦です。

  このおおきな違いを楽しめるのも嬉しい一つです。

 

 

 今回注文したのは

高遠そばつゆの蕎麦三昧

 (玄、入野谷、いなかの三種)1750円とお酒。

 

蕎麦屋酒

メニューを見ると3種類

高遠 黒松仙醸400円

高遠 やまむろ500円

伊那 斬九郎 500円

 

1合でこの値段。 ちょっと安すぎて不安。これは普通酒の値段だが(普通酒というのだが、普通ではなく添加物の入った普通ではないものが多い酒の総称(ただし、まともな良いものもある)) 大丈夫だろうか

 

でも、これしかないのなら、まともなものに当たるように祈りつつ、「やまむろ500円」を注文。

 

やまむろをネット検索をしてみると、高遠産の米、高遠の蔵元で高遠だけで販売される地酒で、

伊那市高遠町 株式会社仙醸

やまむろ 辛口純米 

特定名称:純米酒

原料米:高遠山室産ひとごこち

精米歩合:70%

酵母:きょうかい901号

アルコール度:15%

純米酒だった。 よかった!とても値段やすく提供されている。

味わいはかすかにフルーティな辛口でややきれいめ。

 

 

高遠そばつゆは、味噌味つゆ。

 まず 焼き味噌を半分と出汁半分を溶いて、辛み大根とネギを加えて待つ。

 

蕎麦 蕎麦三昧

 (玄、入野谷、いなかの三種)

まず「玄」が出された。

⚫︎高遠産 玄そばの挽きぐるみ 外ニ蕎麦  60g位

(玄そばの挽きぐるみとは、外の黒く固い殻付きの玄そばのまま臼で轢いたもの)

(外ニ(そとに)とは、外二ハ蕎麦とも言い、そば粉10に対して2のそば粉を加えたもので、二八蕎麦より小麦粉が17%ほど少ないです)

蕎麦粉の粒子は30メッシュ位(0.595mm位)の粗挽き

太さは15本(畳んだそばの1寸の幅を15本に切る 2.2mm位)の超太打ち

いつも通り 何もつけないでそのうまみを楽しむ

 挽きぐるみだが、この三種類の中では一番色が薄く一番ツルッとしている。

甘み十分 美味い

  いい蕎麦だ。

 

 三種類の蕎麦を食べ比べながらじっくりといただきます。

  旨い蕎麦の食べ比べは 本当に楽しく うれしい。

 

2番目は

まぼろしのそば

⚫︎入野谷(いりのや)在来

長野県伊那市の山奥の奥、入野谷(いりのや)地区の在来種

(長野県伊那市の山奥の奥、日本のチベットと言われるコメも作れない急峻な谷で栽培される貴重な在来種。 

標高約800~1200mの中山間地で、入野谷郷の内、ソバが栽培されている三峰川右岸はミネラル分を多く含んだ地層であるため、おいしいそばができたと考えられます。入野谷郷のそばのおいしさは評判を呼び、江戸時代には戸隠、川上とならぶ信州そば三大名産地とされていました。

昔はおもてなしや冠婚葬祭の際にはそばを打ち、振舞ったそうで、見ず知らずの方がそば食べたさに葬儀に参列したというこぼれ話もあります。このように、稲作に適さない入野谷郷では、そばがまさに命をつないだ食であり、生活に深く根ざしていました。それが近年絶滅したと思われていたが、2014年に標本としてたった20g保存されているものが見つかり、これを毎年増やしていったもの。

 すこぶる美味しいが、あまりにも収穫量が少なく、地元の高遠の有名店でも常時は食べられない貴重品。

 入野谷在来そばも椎葉産の様に非常に小粒で、味や香りの素となるたんぱく質や脂質の一粒あたり含有量が他のそばに比べて多く、風味も非常に強く、シナモンのような、アーモンドのような独特の香ばしい香りが特徴です。

 蕎麦屋で入野谷在来これがあると聞けば必ず食べにいくくらいの大好きなそば品種のひとつです。)

さて、入野谷在来を食してみる。

鬼殻いりの十割蕎麦 田舎 60g位

蕎麦粉の粒子は「玄」と同じ30メッシュ位(0.595mm位)の粗挽き

太さも「玄」と同じ15本位(2.2mm位)の太打ち

これもなにも付けないで本来の味を楽しむ

噛みながら楽しむ蕎麦

しっかり腰があり、歯で噛み切る感じ。噛めば噛むほど旨味甘味が滲み出てくる。

入野谷郷の大地に由来するミネラルたっぷりの甘さ 旨味

 旨い!

 

 

 高遠味噌の出汁で食べると やはり味噌が勝ちすぎて蕎麦の旨みが消える

 この出汁に辛み大根をいれて食べると とてもいい味だが 味噌の味が前に出過ぎてこの美味すぎる蕎麦の味が消える。

 最高の蕎麦がもったいないと思ってしまう。

こういう出汁は真っ黒い蕎麦特有のアクを感じる強い田舎蕎麦に使ってあげると最良だろう。

 普段からちょっと良い蕎麦の時は、その蕎麦の味を楽しみたいので何も付けないか塩で食べていて、私の場合この方が美味しい。だからいつもそばつゆ、薬味葱、山葵が余ってしまい蕎麦湯で使っている。

 

3枚目

⚫︎高遠産十割蕎麦 いなか

 粒子はザラザラ 蕎麦屋では一番粒子が粗い20メッシュ位(0.841mm位)で、

太さは3mm(10本位)から4mmの太さの混ざる超太打ちだ。

私が打つ超々太打ち蕎麦は太さは3.5mm位だが、それよりも更に太いものが混ざっている。

これも美味い蕎麦だが、もっちりというより太すぎてややモサっとする。

入野谷在来を食べていなければすこぶる美味いというだろうが、入野谷在来の後なので譲ってしまっていましたが。

    またまた美味い 旨い 蕎麦

蕎麦の耳が一緒についてきたから、味噌を巻いてたべる。

これは、野趣に富んで旨い!

 

 ごちそうさま

 さて、ここから徒歩でも20分ほどの「天下第一の桜」と称される高遠城へ向かいます。

ことしのさくらは気が早い

 もう虹の彼方へ

   行っているかもしれません

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高遠そば ますや

長野県伊那市高遠町東高遠1071