「無篩いの挽きぐるみで3、4日寝かせた蕎麦がある」
これだけ聞いたら蕎麦に詳しい人は「オオ! これはすごい!」っと思う。
無篩いとは
そばは蕎麦の実を石臼で粉にする時に篩(ふるい)にかけます。このとき、300~20メッシュ位までの様々な篩いを使いますが、最も細かい粒子の300メッシュは粉の直径が0.05mm、最も粗い20メッシュが0.84mmになります。
粒子が細かくなればなるほど、繋がりやすくなめらかな蕎麦になり喉越しを求める蕎麦になりますが、香りも味も飛びやすくなります。(これを利用して十割蕎麦を売りにしている蕎麦屋の多くが、繋がりやすい200メッシュ以下の超微粒子で蕎麦打ちをしています)
逆に粒子が粗くなるほど、蕎麦本来の香りや甘み、風味が強く出てきますが、それと同時に粉同士がどんどん繋がりにくくなります。
最も粗い20メッシュの粉は非常に大粒で、まさに“超々粗挽き”。本当に旨いですが、打つときに、水廻しも難しく、まとまらず、蕎麦として仕上げるには非常に高度の技術がいり、20メッシュだと打てない店もあり、全国でも100軒に1軒あるかないかと言われます。
そして、さらにそれより旨みを求めて粒子を大きくするには、篩いを使わない無篩いで挽きますが、20メッシュより粗くなるので、さらにつなぐのが難しく、無篩いのそばを出す店は数百店に1軒ぐらいです。
同じ無篩でも、石臼にかける回数によって粒子が大きく異なり、私は一度挽き(一度しか挽かないので極端に粗い直径4mm位の粒も沢山入る)ですが、挽いた粉を二度挽きですと、少し細かくなり、三度なら粒子が1mm前後の細かさになりになります。
熟成蕎麦とは
美味しい蕎麦の条件に「挽きたて打ち立て湯掻きたて」と言う「三立て」がありますが、これは6割位だけ正しいです。打ち立ては中に気泡が入っているのでゆがくとすぐ浮いてくるので、少し寝かせて落ち着かせてからが良く、湯がきたても、粒子の細かい二八や十割は急いで食べなければ味も香りも飛んでしまいますが、粗挽きなどでもっと旨みを出したいときは5~10分程置いてから食べると旨みが出てくるものです。
打った後の熟成ですが、一般的な二八や粒子の細かい十割蕎麦は時間と共にどんどん劣化していきますから、熟成はできず、翌日には捨てます。
しかし、熟成蕎麦を作るときは、根本的に発想が違います。私もその時の気温湿度、そばの状況、などを勘案して超々粗挽き十割蕎麦を冷蔵庫で1日~ 6日熟成させて一番旨みの乗るときをなん度も調べてきましたが、超々粗挽き十割蕎麦は寝かせることで素晴らしく旨みが出てきます。しかし、ちょっとやり過ぎると蕎麦の嫌味とアク、劣化が一気に出てきて食べられなくなり、微妙な熟成管理と余程手練れた方でないと無理な世界です。
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さて、本論
金山に無篩いの蕎麦屋があるということを先日知り これは何がなんでも行かねばと 訪問。
手打ち蕎麦 だいち 金山 2025.6.26
17時オープンと同時に入店
お品書き拝見
蕎麦前は何にしよう。
蕎麦前とは蕎麦屋でお酒を飲む江戸っ子の風習で、蕎麦が出てくるまでの間に日本酒を片手に蕎麦屋定番つまみの「板わさ、焼き海苔、そば味噌、出汁巻き卵」などをいただく粋な文化ですが、
江戸中期にはこの蕎麦前という表現が存在し、江戸末期に書かれた「江戸自慢」には、「必ずそば屋には酒あり。しかも上酒なり」と書かれており、そば屋は質のよいお酒が飲める場所であったようです。
注文は
ほろ酔いセット1100円
(アサヒ中瓶1+そばみそ 漬けマグロ料理 その他)
大根の天ぷら(ハーフ)400円
烏賊の塩辛
そばがき1780円
後で蕎麦を。
ビールは本音は恵比寿が良いのですが、無いので仕方ないですね。
アサヒ中瓶1(そばみそ 漬けマグロ料理 その他) その他は数の子だった
蕎麦味噌 中々良い 漬けは生臭みもなく 旨い 数の子 辛すぎずいい感じ どれも酒に最適
魔斬(まきり)純米大吟醸 超辛口 山形 1200円
やや辛口 +6~8位の感じ
キリッといい味だ
⚫︎大根の天ぷら
おでんの大根を3日位煮込んだ感じのものが揚げてあるが、結構お通な味
⚫︎そばがき
4個付
海苔が付いてきた
蕎麦屋で焼き海苔があると蕎麦がきに合わせようといつも注文するが、ここは最初から付いている
これは良いね嬉しいね。
そばがきは、何もつけず、そのまま食べて
これは甘い 美味い 良い蕎麦がきだ
次は海苔で巻いて
これがまた美味い
次の酒
呼友(こゆう)純米吟醸
久保田の醸造元の酒
とても良い酒だが、今時の流行りの飲みやすい酒なので、蕎麦がきにはちょっと甘味と軽さが合いずらい
︎⚫︎烏賊の塩辛
変な生臭みもなく、中々いい味だ
︎⚫︎湯葉つまみ
日の丸 純米
︎⚫︎蕎麦 秋田産
無篩いの挽きぐるみで3、4日寝かせた蕎麦
これだけ聞いたら蕎麦に詳しい人は「オオ!すごい! ありえない世界だ」っと思う蕎麦
無篩いだが、よく見ると、結構細かく均等に挽かれていて超大粒が見当たらない。やはりこれは二度挽きか三度挽きだね。
食べてみると 触感も20メッシュに近い感じなので、三度挽きだね。
同じ無篩でも、 私は一度挽き(一度しか挽かないので極端に粗い直径4mm位の粒も沢山入る)ですが、こちらの店は三度挽きで、挽いた粉をまた挽いて三度なので、1mm前後の細かさになります。)
(一番粗い20メッシュの篩いを使った粉は0.8mm位ですから、それより更に粗い蕎麦です。)
さて、だいちさんの蕎麦の味は。
うまい! いい味だ。
鬼殻からの挽きぐるみにでも、外皮の分量を減らし、苦味も少なく良い感じでもっちりと旨い。
余程の名人ですね。
名古屋では、先週の武山とともに最高峰の味です。
美味しいお店でした。
帰り際に大将にお聞きした。
関東や関西で修行して8年前に店をオープンし、喉越しではなく、旨みを追求していくと粗挽きになり、更に旨さを追求して今の無篩い超粗挽きになった。蕎麦粉を挽くのは自家製粉ではなく製粉工場へ外注している。ボロボロにならないように外一や九一蕎麦にもするが、小麦粉の味が出ないように、その時に合わせて十割から九一迄の間で打っているとのこと。そして、打った蕎麦を冷蔵庫で3日以上寝かせて熟成させ旨みが乗ってから出すとのこと。
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私の打つ蕎麦は
・喉越しより旨味を追求
・超々粗挽き十割蕎麦
・粒子を究極まで粗くする(粗すればするほど旨みが出る)
・篩いを使わない無篩の一度挽きで究極の粗さ
・苦みのないあじにするため「丸抜き(鬼殻だけを剥いた実)」を使う。
・蕎麦打ちの後、まる一日冷蔵庫で熟成させて旨みだけを最大にしてから翌日出す。
(丸抜き)
米の籾殻がご飯に入っているとモソモソして食べられませんね。同じ様に蕎麦も鬼殻が入りすぎると苦味とアクが出て喉に当たるようなザラつきとモソモソしておいしくありません(黒い苦みのある蕎麦)。
ただ、鬼殻の入れ方で苦味とアクをうまく隠し味に使うおいしい方法もあります。(田舎そばの良い風味のそば)
私は苦味のないザラつきのないもっちりとした蕎麦が好きなので丸抜きで打ちます。
私とだいちさんとの一番の違いは、
私は無篩いの「1度挽き」ですが、だいちさんは「3度挽き」。
私は「丸抜きの挽きぐるみ」ですが、だいちさんは「鬼殻からの挽きぐるみ」
製粉は私は自家製石臼による手挽きで、臼の目立ても自分でしますが、大地さんは製粉工場。
この3点です。
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手打ち蕎麦 だいち 金山
愛知県名古屋市熱田区波寄町-4-21津田ビル105
電話番号 052-884-2907
❑営業時間 11:00−14:30 (L.O.14:00)
17:00−20:30 (L.O.20:00)
❑定休日 日曜は昼飲み、水、不定休あり 夜は予約してください
















