岐阜県現代陶芸美術館 「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」 | foo-d 風土

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岐阜県現代陶芸美術館

「卒寿記念 人間国宝 鈴木藏の志野展」

2025年 3月29日(土)~ 6月1日(日)

 

案内より

日本の、そして現代美濃陶芸を代表する陶芸家、鈴木藏(おさむ)氏(1934年生)は、荒川豊蔵(1894-1985)に続き、二人目の「志野」における重要無形文化財保持者(人間国宝)です。令和6年度、文化功労者に顕彰されました。  

 鈴木藏は岐阜県土岐市に生まれ、多治見市市之倉の丸幸陶苑に勤務する父の助手として働き1966年に31歳で独立。薪窯でしか焼けないとされていた「志野」にガス窯で挑戦し、自然への畏敬の念を重んじ、伝統を大切にした中から独自の作陶スタイルを確立していきます。 

 「志野には日本人の美意識の独特さと素晴らしさがある」と語る鈴木藏。作品を作るなら「新しくて、力強いもの」という姿勢を崩さず今日まで取り組んできました。 本展では2024 年12月に卒寿を迎えた鈴木藏の初期から最新作までを一堂に展示します。

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 日本一の陶磁器産地である東濃には幾多の人間国宝の方がおられますが、その中でも鈴木藏氏は荒川豊蔵に次いで私が好きな作家で、

今回は鈴木藏の様々な志野がじっくりとみられますし、志野がこれでもかという位陳列されていて、金剛これだけ沢山の志野をまとめて見る機会も無いと思いますので、好みのものからその他まで皆様もこの機会にどうぞお楽しみください。

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 美濃焼とは、

岐阜県の東濃地方=東美濃地方(多治見、土岐、可児、瑞浪、笠原など)で作られる陶器で、歴史的には、安土桃山時代に黄瀬戸、瀬戸黒、志野、織部などの基本の焼物がこの地で生まれ、茶道で使われる陶器「茶陶」としても素晴らしい品が多く生まれています。

 現代では陶器のみならず炻器、磁器まで含め、ピンからキリまでありとあらゆる焼物が作られて日本一の陶磁器生産量になっていますが、そのことにより、これだという特徴がないのが美濃焼の特徴ともなって美濃で焼かれたものはなんでも美濃焼という状況になっています。

 今後は、削ぎとるもの、発展させるもの新しく生まれるもので、「美濃焼とはこういうものだ」と誰にでもわかり誇れる世界を確立してほしいと望んでいます。)

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志野

安土桃山時代に日本人が作った初めての白い焼き物といわれています。

室町時代の茶人・志野宗信が美濃の陶工に命じて作らせたのが始まりとされ、可児市久々利から土岐市泉町久尻にかけて産出する五斗蒔粘土やもぐさ土という鉄分の少ないやや紫色やピンク色がかった白土を使った素地に、志野釉(長石釉)と呼ばれる長石を砕いて精製した白釉を厚めにかけ焼かれる。通常、釉肌には肌理(きめ)の細かい貫入や柚肌(ゆずはだ)、また小さな孔が多くあり、釉のかかりの少ない釉際や口縁には、緋色の火色と呼ばれる赤みのある景色が出て優しい白色にうっすらとした緋色が入っています。

 絵などの柄が付けられていない「無地志野」を基本に、絵志野、鼠志野、紅志野、練込志野などの種類があり、国産の茶碗では2つしかない国宝に志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」が指定されています。(他の一つは本阿弥光悦の楽焼白片身変茶碗で銘不二山)

志野は安土桃山時代はずいぶんもてはやされたようですが、江戸時代になり、徐々に技術が失われていき幻となっていましたが、荒川豊蔵が魯山人の星ヶ丘茶寮にいた頃、岐阜県可児市大萱の山の中の古窯跡を調査して破片を発見し、志野を再現しました。

(荒川豊蔵はその後志野と瀬戸黒の人間国宝になっています)

黄瀬戸

「瀬戸」の名が付きますが、瀬戸黒と同様に美濃で焼かれたもので、中国華南で生産された三彩陶器の交趾(こうち)焼の影響を受けて安土桃山時代生まれたとされ、食器が中心です。

あたたかみのある柔らかな黄色に、所々緑色の織部釉で植物の文様が描かれているのが特徴の焼き物です。

瀬戸黒

安土桃山時代にうまれたもので鉄釉を施し、釉薬が溶けている途中で窯内から引き出し、急冷させて黒色釉としたもので高台が低い半筒の形で作られる独特の黒色の茶碗が特徴です。

黒茶碗も結構好きで、長次郎の黒楽茶碗は好きですが、瀬戸黒は肌の黒がマットで深みがないものが多くて、今までで良いと思ったのは1、2点しかなくて、あまり好みのものに出会っていません。

織部

安土桃山時代に、茶人の古田織部が、自分の好みに合わせてつくらせた焼き物で、千利休は渋みのあるシンプルな「詫び寂び」な器を好んでいましたが、その弟子である古田織部は利休の好みとは正反対といえる「織部好み」で作られた織部焼は、ゆがみも味わいとみるだいたんなフォルム、鮮やかな緑、鉄を含んだ顔料で描かれる文様や絵は、ほかの焼物にはない自由で豪快なフォルムや奇抜な文様が特徴となっています。 織部黒、青織部、志野織部など形や模様もたくさんのものがあります。

 

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 今回の展覧会とは関係ありませんが、現代の志野茶碗を見てきましたので、最後に江戸時代の志野も1点。

江戸時代 絵志野 檜垣 山文 茶碗

数百年の時代の乗った私のお気に入りで、自宅でたっぷりとお茶を点てて飲んでいる志野茶碗です。

 

余談ですが、

 鈴木藏氏の「力強いもの」という言葉からも想定するように、日本各地の現代作家のお抹茶茶碗はどっしりとした大ぶりのものが増えていて、使うより飾ることに主眼が置かれているように感じてしまいます。 立派に見えて陳列映えには良いのですが、実際にお抹茶を点てて飲む時には、ちょっと大きく重く、大きすぎて掌に収まりにくく、口縁も分厚いものが多く飲みづらく、大きな男性には良いですが、女性や非力な方にはちょっとね。っと思うものが増えています。もっと繊細で使い易き飲みやすい美しい碗もほしいですね。