江の浦測候所 2023.6.17 | foo-d 風土

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自然や芸術 食など美を 遊び心で真剣に

 「江之浦測候所」と聞くと気象観測の施設?と思われる方もいるかと思いますが、一言で言えば、ここはかつて蜜柑畑だった小田原市江之浦の地に、現代美術作家・杉本博司が設計した壮大な屋外型美術館です。

 

測候所という名前について、杉本博司氏は、「悠久の昔、古代人が意識を持ってまずした事は、天空のうちにある自身の場を確認する作業であった。そしてそれがアートの起源でもあった。新たなる命が再生される冬至、重要な折り返し点の夏至、通過点である春分と秋分。天空を測候する事にもう一度立ち戻ってみる、そこにこそかすかな未来へと通ずる糸口が開いているように私は思う。」と書かれています。

 

 敷地はとても広大で、明月門エリアと竹林エリアに分かれており、山の斜面などを歩いて廻るまさに体感する美術館です。全体の施設は、ギャラリー棟、石舞台、光学硝子舞台、茶室、庭園、門、待合棟などがあり、いたるところに歴史的な建物や石材、木材などが展示されていますが、施設のコンセプトを壊さないようにするためか展示物には説明書きなどが一切ありません。

夏至の朝、陽が差し込む「夏至光遥拝100メートルギャラリー」と冬至の朝、相模湾から昇る陽光が70メートルの隧道を貫き、対面して置かれた巨石を照らし出す「冬至光遥拝隧道」とが、その象徴的な施設。 広大な敷地で、全てを見て回るのに半日を要しました

 

駐車場の前 甘橘山

ここは蜜柑畑を使った壮大な美術館

面白い木々

 駐車場から森のような小道を通り、右手の明月門で入場手続きを済ませます。

 

明月門は室町時代に建てられた鎌倉にある臨済宗建長寺派の明月院の正門で、その後関東大震災で半壊し、根津美術館の正門として使用され、平成18年の根津美術館の建て替えの際にこちらに寄贈されました。

 

左側のガラス張り待合棟の中に巨大な一枚板のテーブル。

 いい味がありますね、

なんと、樹齢1000年の屋久杉テーブルでした。

 

次は「夏至光遥拝100メートルギャラリー」

海抜100メートルの地点に夏至の日の出に向かって真っ直ぐ張り出して延びる100メートルの長さの片面硝子、右面大谷石の壁のギャラリー。

大谷石がいい味を出しています

 景観を取り入れた素晴らしいの一言

外に出て

 

円形劇場への入口

円形劇場への入口にはイタリアの大理石のレリーフが飾られている。12~13世紀頃に作られた、旧約聖書のエデンの園にあった生命の樹を表現したもの。足元の茶色のものは冬至の日に昇る陽光を見る70メートルのトンネルの屋根です。

 

 

 

茶色のものは冬至の朝、相模湾から昇る陽光を見る70メートルのトンネルの屋根。右側は冬至の軸線に沿って、檜の懸造りの上に光学硝子が敷詰められた舞台が設置されています。

 

古代ローマ円形劇場写し観客席からの眺め。 イタリアのラツィオ州にあるフェレント古代ローマ円形劇場遺跡を再現しているそうです。

トンネルの上を止め石が置かれている場所まで進むことが出来るようになっています。

 

空と海と漁船と光学硝子舞台

相模湾の景色は圧巻でした。

 

 

飛鳥時代の法隆寺の若草伽藍の礎石や、天平時代の元興寺の礎石、そして室町時代の渡月橋の礎石などがすばらしい配置で演出されている

空と間かんじさせ見事

 

冬至の朝、相模湾から昇る陽光を見る70メートルのトンネル

 

トンネルの中 この中を朝日が通ります

 

 

 

 

 

冬至光遥拝隧道の光井戸の部分は天井に穴が開いていて雨や雪の日は上から雨粒や雪片が落ちてくる様子が見られます。

またこの上にも井戸があり、そこからこの光井戸を覗き込むこともできます

 

 

けっこう神々しさもありますね
 

 

 

 冬至の日 陽光はここへ出てきます

 

円形石舞台

陽光は

 

写真の正面の巨石は江戸城の石垣のために切り出された石で、ここに冬至の要項が当たります。

 

 

 

 

 

 

 

茶室「雨聴天」

この茶室は千利休の「待庵」の本歌取りとして構想されました。(本歌取りとは古典を引用しつつ現代に蘇る手法)

茶室の名前の由来は、この地にあったミカン小屋のトタン屋根を外して屋根として、雨が降るとその音が響く、響くその音を聴くという意味で「雨聴天(うちょうてん)」と命名されたそうです。

このガラスの沓脱ぎ石を見て、直島の護王神社の地下の石室から本殿へ続くガラスの階段が蘇り、あああれも杉本博司だったと、思い出しました。 暗い胎内から地上へ行くガラス の階段。あれは印象的でした。

 

「夏至光遥拝100メートルギャラリー」が見えた。

カッコイイ!

蜜柑畑や竹林の方へ少しづつ降っていきます

 

化石窟

かつての農家の道具小屋を改装したもの

オルドビス紀(5億500万年~4億3800万年前)の三葉虫の化石の本物。

なんでもないように置かれているが、すごいものだと思う。

 

すごいものが多い。

 

エイやアンモナイト、海サソリなどの、数億年前~数千万年前の化石がいくつも展示されていました。

まるで、化石博物館です。

 

 

数理模型0010 

 

竹林

 

 

春日社社殿

竹林エリアの見晴らしのよい高台に設置されたのが「春日社社殿」。

奈良円成寺(えんじょうじ)の国宝「春日堂」を採寸して忠実に模したものだそうです

 

 

はるか遠くに 冬至の日に陽光の差し込む70mのトンネル

 

これからまた山頂まで登っていき、ようやく全部見終わりました。

 

しかし、まだこのとても広い空間は完成していませんこれからも成長していくのです。

 

見るのはほぼ屋外ですから、雨の降らない日を選ばないと大変です。

そして、事前予約制です。

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江之浦測候所

 神奈川県小田原市江之浦362-1

0465-42-9170