今日は雨
花散らしの雨と言われます様に 見事に咲いていた桜も満開ゆえに散りやすく 散って地面に落ちた花びらは、小野小町の和歌の様に人生さえ哀愁ただよう感じにさせます。
花の色は うつりにけりな いたづらに
わが身世にふる ながめせしまに
(現代訳)
桜の花の色は、むなしく衰え色あせてしまった、春の長雨が降っている間に。ちょうど私の美貌が衰えたように、恋や世間のもろもろのことに思い悩んでいるうちに。
青空の中で美しく咲く桜を見てしまったので、雨に打たれる桜は余計にもの悲しく感じます。
風に舞う桜や散る桜を歌った和歌は多いのに雨の日や雨に散る桜を歌った和歌はとても少なく、探しても二首しかありませんでした。
その中で恋する方へ
雨降れば 色去りやすき 花桜
薄き心も 我思はなくに
紀貫之
(現代訳)
雨が降ると色が褪せやすい桜ですが、その桜のように薄情な薄い心で私はあなたを恋慕っているのではありませんと訴える恋の歌です。
紅に 深くにほへる 桜花
雨さへ降りて 色を染めける
詠人知らず 一条大納言歌合(975年)出詠
(現代訳)
紅色に照り映える桜の花は(それだけでも美しいのに)雨が降って一層濃く染めて色つや増して美しくなりましたね
これは雨が植物に息吹を与え、色褪せるどころかむしろ花を色付かせるものと捉えられていたことが考えられます。これは満開になった直ぐの花が散りにくい時に歌ったのでしょう。
一雨ごとに山の木々の緑は増して何千何万の緑が現れ一年で一番美しい山並みが出現しますが、桜はその前に山々を豪華に飾って山々を讃えているのかもしれません。


