大阪へ展覧会を3つと、大阪の最高のフレンチという、どれも逃せない貴重な勉強へ行ってきました。行く途中で気になる蕎麦屋の調査。
もともと、信楽の奥地にあった、知る人ぞ知るお蕎麦の名店というので、あれ?信楽?っと思い、私の蕎麦屋遍歴を調べたら、2014年5月31日にミホミュージアムと信楽の窯場巡りの時に食べに行っていた。
信楽の中心から20分ほど走った 朝宮茶の茶畑の広がる山の中 の辺鄙なところにある農家の一軒家だが、旨い蕎麦を出すので、常に客で混み合っていた。
作美さんは「生粉打」を冠しているように、蕎麦粉などつなぎは使わない蕎麦粉100%の蕎麦です。
(そばの歴史で初期は、小麦粉などのつなぎとなる混ぜものは無く、そば粉だけで打たれており「生粉打ち」と呼ばれていました。
生粉打ち蕎麦は十割蕎麦とも言いますが、もともとは「生粉打ち」という言い方が主だったのです。
その後、二八蕎麦、九一蕎麦、外一、外二、など、つなぎに小麦粉を混ぜるようになり、蕎麦粉だけで打った蕎麦だということが分かりやすいことから近年「十割蕎麦」という言葉が広まってきたものと考えられます。)
作美さんの蕎麦は玄そばからの挽きぐるみとのこと。
お店は信楽の時からは想像もできない現代の家
完全予約制で、店内はテーブル4卓だけ。
蕎麦粉は
福井県産そば 大野在来
(越前大野で昔から品種改良もせず細々と作られてたそばで、旨味、香りが強く粘りが強いのが特徴で私も大好きな蕎麦品種の一つです)
どうしてこの産地の蕎麦を使われるのですかとお尋ねしたら、各地のものを色々打ってみたが、この産地が一番良いと長年使っておられるそうだ。
そういえば先回お邪魔した時も一緒だった。
今日(12月10日)から新蕎麦に代わったとの事。
流石 味に拘るお店はわかっていらっしゃる!
新蕎麦が出るのは9月末~10月なのに、年末に新蕎麦?っと思われる方も多いのですが、この出たばかりの新蕎麦は色と香りは良いが味が未だ乗らず美味しくありません。蕎麦が一番美味しいのは刈取後数ヶ月熟成されて年末から3月頃までが一番美味しいのです(現代は冷蔵技術が発達していますからその後も美味しさは続きますが)
この為、この店のようにわかっている店は熟成して味が乗ってくる年末頃迄待ってからしか新蕎麦は出さないものだ。
かくいう私も年末まで新蕎麦は一切使わない。
お品書きを拝見
注文は
●愉しみミニコース2250円
(盛り・蕎麦がき・生粉焼ぜんざい)
●おろし1100円
●そばがき1050円
丸抜きの超粗挽き
生醤油 きな粉付き
そば刺身が口取りで出された。
良いそばに大根とそばの茎、山葵がよくあって醤油が効き 美味しい。
お酒が欲しいが、このお店は以前もそうだった
置 い て ない 残念!
蕎麦
玄そばからの挽きぐるみとのこと。
(挽きぐるみとは、黒いそばの実をそのまま挽いて黒い鬼殻が混ざったもので、 長野辺りで出される黒い蕎麦は鬼殻全て入ったものがあるが、苦味が多く蕎麦の実の旨さが消されるので、店によって鬼殻の分量ををある程度取り去っている。)
こちらの店は鬼殻を10%と、大部分取り去った感じで、黒い星がパラパラと入っているのが見える。
蕎麦粉は機械挽きで、網目20 メッシュ(=0.84mm)の篩(ふるい)で篩るったもので、ザラザラの粒子となり蕎麦屋としてはこれ以上ない最大の粒子だ。
出来た蕎麦は太さ2.5~3mmと、他の蕎麦屋と比べると極端に太いが、これくらい太くしないと粒子が大きいから切れてしまう為と言われた。
帰りに20メッシュでは無く、もっと大粒の未篩い(篩を使わない)には、されませんかとお尋ねした。
「未篩いの方が味が絶対美味しいので、本音はそうしたいが、そうするとどうしても途中で切れてしまい、わかるお客さんだけなら良いが、一般の方には、切れていると商売では使えない」と残念そうに言われた。
(ちなみに、私の蕎麦は、濃厚な旨味を追求するので、丸抜き(鬼殻を入れない)で、篩を使わないで1度だけ手碾きで行う 日本一超々粗挽き十割蕎麦だが、粒子は最大3mm位と大粒にしている。ここまで粗いと、先ほどの話、蕎麦屋はしないし、打つのがとても難しく、打てない蕎麦屋も多いです。)
まずそのまま何もつけないで食べる。
ウーン! 良い蕎麦だ。
そのままで数口
旨い!
また一口 旨い!
楽しいね
次いで
粗塩でいただく。
蕎麦がさらに甘く感じ
旨い!
蕎麦つゆは俗な店に特有の鰹や鯖などを煮詰めた様な生臭みもなく綺麗な辛さでいい蕎麦つゆだが、塩で食べるのが美味しく、あまり使わずだ。本当に旨味のある蕎麦には蕎麦つゆなど必要じゃなくなる。
おろしそばの大根は辛味大根と普通の大根が選べるが、当然 辛味大根をお願いする。
(蕎麦に添えるには山葵が一般的だが、辛味大根が本筋である。
辛味大根が取れない時の代用として始まったのが山葵であり、山葵の産地であった伊豆は船で江戸に運べるのでこの簡易さで一気に広まったのである。 二八蕎麦で出汁と喉越しを楽しむ場合は山葵でも良いが、辛み大根の絡んだ蕎麦が最上である。
辛味大根と呼ばれているものは普通の大根より小ぶりで辛味が強く水分が少ない大根で。親田辛味大根やねずみ大根など古くから栽培されてきたものや赤いもの、緑色のものなど様々。
辛味大根はその辛味強さと、水分が少なくおろしにした時に水気が少ないので、そばつゆなどが薄まらないと言うこともあり、そばやうどんに用いられる事が多い大根です。ただ、非常に辛いので、普通の大根のような煮物などにはむいていません。
蕎麦がき
生醤油 きな粉付き
こちらは黒い星の入らない丸抜きの超々粗挽き。私の手挽きの超々粗挽き蕎麦に近いとても大粒の粒子だが、おそらく未篩いだろう。
蕎麦掻きは本来は蕎麦よりも圧倒的に味があるものだが、蕎麦が超粗挽きで美味すぎて、そこまでの差がない。とは言え、旨い。
上に煎そばが載っているがコリコリと小気味は良いが、蕎麦がきのまったり濃厚な美味しさを味わうには邪魔だ。
粗塩をつけて半分以上食べてしまった。
蕎麦掻きにはきな粉も合うんだよね。 特にモチーっとした大野在来の様なものの蕎麦掻きにはうってつけの美味しさだ。
また、ここまでマッタリの蕎麦掻きに、は生醤油より蕎麦つゆの方が合うと思った。
蕎麦つゆを付けたこの蕎麦掻きには、辛口のキリッとした酒があるともっと美味しく感じ、
何もつけないこの蕎麦掻きには、濃厚な旨味の山廃の純米無濾過生原酒があると、更に旨いだろうなっと思いながら 今日は酒が無い!
生粉焼ぜんざい
温かいのと冷たいのがあり
ぜんざいは暖かい物が普通だが冷たいものは珍しいので、冷たい方をお願いした。
トロッとして甘味を抑えたいい味だ。塩昆布もいいね。
過去40年に20メッシュクラスの超粗挽き蕎麦は10回程各地で食べているが、京都市伏見区にあった蕎麦工房 膳の次位のおいしさだった。
蕎麦工房 膳は、元はエンジニアでとても多趣味なご主人で、蕎麦もその一つ、超粗挽き蕎麦1品だけで週3日お昼だけ営業していた店で、旨すぎて超有名だった。
私の超々粗挽き蕎麦に味も粒子もよく似ているので、お店の営業が終わってから蕎麦の工房を案内して説明を受け、ご主人と蕎麦談義。奥様には店では扱わない美味しいコーヒーを挽いて出していただき、奥様も一緒に3時間以上も話をしたが、過去300店舗以上の全国の蕎麦屋巡りをした中で、旨味だけを捉えれば、一番最高の店だった。
ところが、ならなくても良いのにミシュランになってしまいました。ミシュランの星が付くと、それほど蕎麦好きでもない客も来るようになりただ忙しくなるだけ。 本物の蕎麦を求める蕎麦好きにゆったりと食べていただけなくなり、蕎麦談義なども忙しすぎて出来ないから、打つ方も楽しくない。そうなるとどうなるか。
また食べに行こうとしていた矢先、昨年8月に閉店されてしまいました。 とても勿体無いです。
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生粉打 作美 多治見駅から128km1.46分
(きこうち さくみ)
滋賀県甲賀市甲南町野田812
080-2535-7411
完全予約制
定休日
毎週 火曜日・水曜日(祝祭日振替無し)
【第1部】11:00 ~ 13:45(11:30までに入店)











