弾く前に、ちょっと待って！

楽譜を読んだ。
さあ、弾くぞ

意気込んで生徒さんが出した音に、ひっくり返りそうになるときがあります

えええええ～～～～～～

ちょっと待って。
その曲の出だし、そんな音でいいの

こんな風に書いてあるの、見たかな

かろやかにって書いてあるよ。
ネコちゃんの挿絵も見えるよね。

ねこちゃん、どう歩く

そんなにがんがん、何かに突進してるの

ほらほら。
この曲は、こう書いてあるよ。

夢見るように、だって。

まあ、確かに、君がいつも見る夢は、そういう夢かもしれない。
勇ましく、勇者が戦っているよう夢。

それとも、学校に遅刻しそうな夢

忙しくって、バタバタしていて……。
そんなにあわてて指を落とす曲なのかな。

こっちも見てみようよ。

哀しみをたたえて、だって。

悲しいって、体はどんな風になるんだろう。
動けるのかな。
泣いているのかな。
とぼとぼ歩いているのかな。

そんなときの体って、軽いの

重いの

目はどこを向くの

ねえねえ。
音は言葉だよ。
言葉は、心なんだよ。

その音を出すときに。
君は、何を伝えたいと思って、音を出すのかな……

少しだけ、そんなことを考えてみてから……。
それから、もう一度、音を出してみようか

君の思いを、初めの一音に込めて。

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