最近、気になると見ている、NHKの、
世界で一番美しい瞬間
少し前に放送された、ウィーンのオーパーバルの回は、番組の作りが、ちょっぴりわざとらしくて好きになれませんでしたが……。
今回のパリ編は、なかなか面白かったので、ご紹介を
フランスには、数々の文化遺産が残されています。
その多くは、貴族が主役だった時の、宮殿や建造物。
現在は大統領公邸に使われているエリゼ宮などは、その代表格。
そんな、普段は「庶民の眼にはみえない」扉の向こうにあるものが。
9月の「文化遺産の日」だけは、その扉が開き、一般の人々が中へ入ることができる……。
そんな、パリの特別な一日を紹介したのが、
パリ 秘密の扉が開くとき
です。
出演するのは、貴族の称号を持ち、自分の才覚でその称号をブランド化するのに成功した、青年実業家。
もう一人は、アメリカで富豪の娘と生まれ、自由奔放に生き、最後にはパリに落ち着き、パリを描き続けるモンマルトルの画家、メアリー。
エリゼ宮の「権力の椅子」に自分の夢を確認する、青年実業家。
リュクサンブールの天井を埋め尽くすドラクロワの絵に、不自由さを感じ、自分の絵が絵を描く意味を再確認する、60代のメアリー。
ドラクロワって、この絵を描いた人ですね。
ピアノの詩人とうたわれた、ショパンの肖像画でも有名です。
革命の絵を描いたドラクロワですが、日記にこんな言葉を残しているそうです。
権力が欲しい。
いらないと言っている者は、自分の才能のなさの言い訳にしているのに過ぎない……。
なんだかイメージと違って驚きました。
彼の出世作からすると、
権力なんざ~~、なんの価値もねえぜっ
とか、言って、ちゃぶ台ひっくり返しそうな気がしてた……。
僕が欲しいのは、権力だ。
いつか、エリゼ宮に呼ばれるような人間になりたい。
私は、自由に絵を描きたいわ。
……貴族という称号をもちながらも、それ以外を所有するには、自分の才覚に頼るしかない、現代のフランス貴族。
……かたや、何不自由ない環境に生まれ、自由に世界を放浪し、人生の最後まで自由に生きたいと思う、アメリカ人の女性。
世界に一人として、同じ境遇、同じ目的を持つ、人間はいない……。
人は、自分の持っているものには無頓着であり、ないもの、あるいは、失ってしまったものにより敏感なのかもしれない……。
でも。
なによりも、やはり、持って生まれた魂の違いなのかもしれませんね。
番組の最後に、メアリーさんが仕上げた絵が紹介されていました。
全ての窓が開け離れた、パリの街角の風景。
彼女が託したメッセージは……番組を見てね
わたしもやっぱり。
旅の最後の瞬間には、メアリーさんの方に会いたいかな……