今週は天気がイマイチでしたが、蒸し暑い日が続きますね。

では、早速今週の注目ニュースの紹介です。

1. Nobotがmedibaの子会社に

スマートフォン向け広告事業を展開する「Nobot」がKDDIの広告関連子会社である「mediba」に買収されることが決定しました。

このニュースは業界のソーシャルメディアの間ではかなり話題になっていましたが、それには理由があります。



Nobotの設立が2009年4月でわずか2年余りでのエグジット(投資した資金を回収すること)であること。

それにもかかわらず、直近の月間利益2千万円を計上するなど業績が右肩上がりで、買収額は10数億円と見られていること。

ほかにも、スタートアップ業界で注目されている榊原さん率いるサムライインキュベートのファンドが投資したサムライ軍団のエグジット第1号案件になったことやKDDIという大手企業がこういった新鋭ベンチャー企業の買収に踏み込んだ、という話題性もあると思います。

業界内においては、買収額についてはPER(株価収益率、利益の何倍の価値があるか)で見ると割安でないかと言われたりしていますが、それでも設立2年でこのバリュエーション(時価総額)がつくというのは大したものです。

ただ、Nobotの経営陣のキャッシュアウト(株を売ること、引退的意味合いを含むこともある)が目的ではなく、海外展開を成功させる手段として今回の決断をしたと言われています。



日本のベンチャー企業の場合、エグジットとしてはIPO(株式公開)がほとんどでしたが、少しずつこういった選択肢が出て来ています。

今年の1月にはGREEによる2007年創業の「アトランティス」買収(22億円)があり、たまたまどちらも携帯向け広告事業をやっている会社ではありますが、未公開企業のエグジットプランが広がってくるとスタートアップにとっても追い風になると思います。



2. RIMが2000人解雇

カナダのスマートフォンメーカー大手のリサーチ・イン・モーション(RIM)が従業員の11%にあたる約2000人を解雇すると発表しました。

「RIM」というと馴染みがないと思いますが、「ブラックベリー」と言えば少しは分かるかもしれません。

これはiPhoneやandroidの普及に押されて業績が悪化しているためです。

かつては米国におけるスマートフォンの代名詞でもあった「ブラックベリー」。

ブラックベリーはPCメールを携帯で読むというビジネスニーズにマッチしていたため、私の前職の主力サービスであった「リモートメール」と比較されたり、競合として見られたりしていました。

個人的にはブラックベリーはハードウェアだし、日本人がわざわざメールのたまにあのデザインもイマイチなブラックベリーを買うとは思っていなかったので競合とは見てませんでしたが・・・。



ちなみに、米国スマートフォンのシェアは以下のようになっています。

1)android:39 %(メーカーではHTC、Motorola、Samsungの順)

2)iPhone:28%(アップル)

3)ブラックベリー:20 %(RIM)

4)Windowsモバイル:7.9%(マイクロソフト)



携帯業界の巨人であったNokiaもスマートフォン対応に遅れをとったために業績が悪化し、リストラを迫られています。

時代の先を読み、判断するというのは、本当に大事ですね。



3. Suicaアンドロイド対応

6月の携帯販売におけるスマートフォンの割合が過半数を超えました。

そして、売れ行きNo.1の地位を採ったのは、これまでの「iPhone4」に変わって、私の愛機でもある「Galaxy S2」になりました。

今回、そのandroid端末において「モバイルSuica」が使えるようになりました。

スマートフォンは、そもそもグローバルスタンダードなものなので、日本独自のキャリアメール(iモードメールなど)、赤外線通信、ワンセグおサイフケータイなどが標準ではついていないのですが、最新機種ではこれらの機能が充実してきましたが、今回は最後の砦ともいえる「おサイフケータイ」。

これでandroid普及が更に勢いを増しそうですね。



4. Googleが顔認識企業を買収

Googleが顔認識ソフトウェア企業の「PittPatt」を買収することを発表しました。

カーネギーメロン大学生まれの写真や動画の中にある顔を認識してくれる技術で、GoogleはこれをGoogle+などに活用する目論見だと思います。

余談ですが、こういった買収によってユーザーにマイナスが出るのはどうなのだろうと思ってしまいます。

例えば今回Fridgeはすでに新規加入や新規投稿ができなくなって、最終的にはユーザーのデータはすべて削除されてしまうそうです。

ちなみに、Facebookが買収したbelugaも、使っていますが、ほとんどやる気が感じられずエラーが多発しています。

「技術だけ欲しい」、「競合排除」など買収側の思惑があるのは分かりますが、個人的にはユーザーへの配慮が足りない気がします。



話はちょっとそれてしまいましたが、Googleはつい先日は、米国のソーシャルネットワークの「Fridge」の買収も決めており、Google+への意気込みが感じられます。

ただ、最近Googleは諸々のプライバシー問題でバッシングにあっているので、あまり表立ってすぐに導入というのも難しいかも知れません。



顔認識といえば、アップルも力を入れていて、iOS5には顔認識が標準装備されるかも、というニュースもありました。



また、国内においては、スマートフォン向けの「セカイカメラ」で有名な「頓智ドット」が「スマイルフィーバー」というアプリをリリースしました。

表情認識技術により笑顔の写真を採点してくれて、モテる表情をつくっちゃおうというコンセプト。

合コンネタには使えるかも知れませんが、有料アプリなのでダウンロードの限界がある気がします(^^;)。

ただ、この宣伝動画は意味不明で面白いです(^^)。

http://bit.ly/pg1pkU




5. アリババがモバイルOS発表

中国のEコマース大手のアリババグループの会社が、モバイル用OSを発表しました。

この独自OSを搭載したスマートフォンを7月中にも発売するそうです。

このOS、androidとの互換性をもっているのですが、ちょっと期待できるのは、ユーザー一人一人に100GBのクラウドストレージが与えられること。つまり、モバイルのデータがシームレスに同期・バックアップできるらしいのです。



6. その他

1)ツイッターが広告開始

Twitterが、ついに広告を開始した模様です。

ただ、広告といっても、対象となる会社や製品のアカウントをフォローしていた場合に、そのタイムラインの中に広告ツイートとして表示されるものらしいので、テスト的な運用なのかも知れません。



2)お使いアプリ

米国にはちょっとした仕事をアルバイト感覚で他の人に頼める「taskrabbit」というサービスがあるらしいのですが、それのiOS版まで登場したようです。

「掃除をして欲しい」とか「予約していた商品を取って来て欲しい」とか「役所へ書類を提出して欲しい」とか「チケット購入に並んで欲しい」とかたまにありますよね。

おそらくそんなニーズに答えてくれるサービスなんだと思います。

格好良く言うなら「コンシェルジェ探しアプリ」、好奇心で一度使ってみたいサービスです。



3)モバゲー世界展開

今週、android向け「mobage」の英語と中国語版がリリースされました。

「mobage」を提供するDeNAは、昨年12月に米国のソーシャルゲームの「ngmoco」を4億ドルで買収していますが、そこと共同での展開です。

これで一気に対象国がグローバルに広がったので、海外展開が加速されそうです。

GREEの「openfeint」買収を皮切りとする海外展開も合わせて注目です。



4)Groupon Now

事前購入型共同クーポンを利用されている方には朗報です。

最大手のGrouponが「GrouponNow!」を始めました。

事前共同購入型クーポンは、何人集まれば成立というのがあり、購入してから利用までの間に時間があるのですが、「GrouponNow!」はその名のとおり、これからすぐに利用できるクーポンを扱います。

割引率が低めで時間制限がある一方で、何人集まればという制限がなく、しかも販売期間に使わなかった場合は返金されるのが特徴です。

お店側にとっては「アイドルタイムを無くす」という効果があり、ユーザーは「空いているお店をお安く利用できる」というメリットがあります。

以前クーポン関連のサイトを運営していたときに、こういったサービスをつくりたいと思っていましたが、その理由はこれの方がWin-Winだと思うからです。

これまでの共同クーポンだと「割引率が高過ぎてお店がペイしない」とか「ユーザーが予約できない」などのデメリットがあり、クーポンサイトばかりがリスクがない形になっていたからです。



5)人気アプリの収益実情

android向けの人気カメラアプリに「FXCamera」というのがあるのですが、日本発にもかかわらずダウンロード数は1,000万にも達しているそうです。

それなのに、月額の売上はわずか60万円とか。

無料なので広告収入に頼らざるを得ないわけですが、それでも60万だと一人分の経費ぐらいにしかならないですね。

アプリで収益を上げることは容易ではないことを立証していると思います。

先週の「Snapeee」のところでも書きましたが、アプリはダウンロード数が重要なのではない、とうことをあらためて考えさせられます。



6)アマゾン時価総額

アマゾンの第2四半期の業績発表がありましたが、これが予想を上回る好業績だったため、同社の時価総額(バリュエーション)は1,000億ドルを超えました。

これはアマゾンの史上最高値です。

1995年に設立された、老舗のwebサービス企業がここへ来て価値を最大化できるというのは素晴らしいと思います。

ちなみに、同じく1995年に設立された「eBay」は430億ドルです。



7) Venture Deals

間もなく、米国で注目のファイナンスに関するノウハウ本が発売されます。

タームシートという覚書を結んだ後に、デューデリジェンス(会計やリーガルなどの精査)を実施し、問題がなければ投資という流れになるのですが、その条項でファイナンスに慣れていない経営者が見落としてしまいがちな落とし穴や、対処の仕方などに書かれているそうです。

ボリュームが240頁ある洋書(英語)なので、自分に完読できるか謎ですが(^^;)、早速アマゾンで購入してみました(届くのは8月のはじめ)。



8)位置ゲームのMyTown

日本で位置ゲームというと「コロプラ」が有名です。

既に200万人のユーザーがいて、先日はKDDIからの出資も受けました。

日本では知られていない米国の位置ゲームに「MyTown」というのがあるのですが、「ゆめみ」がこのライセンスを取得し、秋口に国内でサービスをするというニュースがありました。

ゆめみは、京都発の老舗(!?)モバイルソリューション企業。

同社の深田社長は先日結婚披露宴も挙げられてノッています(^^)。

個人的には、独自開発ではなく、既に実績のあるタイトルのライセンスという形を取った理由が気になります。



<番外編>

1. 「3DS」値下げ

任天堂が、「3DS」の値段を1万円下げて1万5千円にすることを発表しました。

3DSは今年2月に発売が開始されたものの、これまで当初計画を大幅に下回っていて、今回の値下げに踏み切ったようですが、これまでの価格で買ったユーザーへの補償的意味合いで、ソフト20個を無料で提供するとか。

このニュースで任天堂の株価は一時ストップ安となりました。

ゲームの巨人である任天堂が、ソーシャルゲームやゲームアプリの前に衰退してしまうのでしょうか。



2. ITベンチャーの報酬

日本のIT系上場企業の平均給与を比較した面白い記事がありました。

それによるとネットベンチャーで600万円を超えているのは、グリー(705万円)、楽天(674万円)、デジタルガレージ(663万円)、ヤフー(646万円)、カカクコム(639万円)、DeNA(626万円)、駅探(620万円)、ミクシィ(612万円)、ベンチャーリパブリック(602万円)の9社だそうです。



個人的にデータを見ていて驚いたのは、アフィリエイトやSEO企業の給料の安さ。

インタースペース、ファンコミュイケーションズ、アドウェイズ、アイレップなどが軒並み500万円に達していないのです。

この差は意外です。



3. 世界の名所

「Gigazine」に死ぬまでに一度は訪れたい世界の名所29ヶ所という記事がのっていました。

http://gigazine.net/news/20110721_must_visit_before_die/

ちなみに、私はこの中では

5.九寨溝(中国)

6.ボラボラ島フォーシーズンスホテル

12.モレーン湖(カナダ)

20.リオマッジョーレ(イタリア)

21.キューケンホフ公園(オランダ)

22.平渓郷の元宵放天燈(台湾)

26.三游洞の絶壁レストラン(中国)

に行ってみたいです(^^)。



4. 高級品

高級葡萄として有名な「ルビーロマン」の初競りが行われ、一房がなんと50万円という値がついたそうです。

以前20万円とか聞いたことがありますが、50万円から逆算すると葡萄1粒がなんと2万円なり。

もう1つ。

200年物のフランス製白ワインが約950万円で売買され、ギネス世界記録を更新したそうです。元ソムリエの個人収集家が購入したこのワインは、1811 年の「シャトー・ディケム」というもので、製造された1811年はすい星が観測された年で、すい星が観測された年は良いワインができると言われているそうです。



5. ミドリムシラーメン

ミドリムシが6億匹も入ったラーメンが文京区の「らーめん安庵」にて販売開始されたそうです。

この「ミドリラーメン」は、東大のベンチャー企業が企画したものだそうで、味はバジル風味だとか。

ミドリムシは59種類もの栄養素を多く含んでいて、食糧難や栄養失調を防いでくれるといいますが、ちょっと自分は遠慮したいです(^^;)。



個人的な話ですが、先日「アビリタ」という家具インテリアの小澤社長とお逢いする機会がありました。

実は彼はキムタクが主演していた月9の「月の恋人」の主人公のモデルになった方で、同ドラマの監修もされていたそうなのですが、男性の自分から見ても、格好良かったです。

私も建築デザインをやっていたので、思い出しちゃいました。。。



それでは皆さん、良い週末を・・・