日本ではIPO市場の低迷でM&Aも以前のような盛り上がりは見せていません。
バブルだったときに比べると企業の買収価格などを見ても、かなり落ち着いてきた感があります。

バブルのときには「売上の5倍」なんていう指標もあったりしました。
それが現実的な「EBITDAの5倍」や「経常利益の5倍」、更に「経常利益の2年分」、最終的には限りなく「純資産」に近づいていく・・・。

企業評価の手法はいくつかありますが、ポピュラーなものはディスカウントキャッシュフローというのがあります。
企業が将来的にどれぐらいのキャッシュを稼ぎ出すかというものですが、あくまで今後の計画に基づく計算方式であり、ネット系サービスの場合かなり流動的です。

もう一つ現実的に考えなくてはならないことが「のれん代」。
いくら利益が出ている会社でものれん代(買収価格と純資産との差)が大きい場合は償却期間によっては赤字になってしまうことになりかねません。

こののれん代償却が5年とかで行われることが多いから利益の5倍という概念が通っているのだと思います。

この買収価格(つまり価値算定)、米国と日本では乖離が大きいような気がしています。
冒頭述べたように日本は落ち着いていますが、米国では未だにかなりのバリュエーションでディールがなされているのです。

Googleが買収する企業のバリュエーションにも驚きますが、今ホッとな「GROUPON」も売上が300億なのに1,000億の価値がついていると言われています。

もちろん、将来性を考えてのことだとは思うのですが、日本ではそういったバリュエーションで買える企業は無いような気がします。

それでもネット系で、かつ自社オリジナルのサービスや技術を提供している会社ならまだ分かるのですが、先日NTTデータが買収すると記事になっていた米国のIT会社の「キーン」は、売上が650億円しかないのに、1,000億円の価値がついているのには驚きました。。

1万2000人もいる会社で、利益率がさほど高くない受託開発がメインであることを考えると、本当にそれだけの価値があるのだろうか?と思ってしまいます。
今回の買収は株主である経営者や従業員の株式も買い取るというもの。
インセンティブが薄くなったメンバーを抱える会社をどう舵を取っていくのでしょうか?
この背景にはNTTデータの経営計画において、海外売上高を3,000億にする目標を掲げていることがあると思われますが、売上を増やすために買収しているように見えてしまいました。

ちなみに国内では先日GMOインターネットが「クリック証券」を連結化するリリースが出ていましたが、純資産が93億円、営業利益(経常利益も同額)が72億円の会社の株式を142億円のバリュエーションで取得していました。
こちらは社長個人からの取得という特殊事情もありますがかなり割安だと思います。

買収適正価格というのは第三者には分かりにくいのかも知れません。