生活の中で「世の中狭い」と感じるシーンに度々遭遇しますが、今日はそんなことがありました。


うちの会社は、今だから言えるのですが、上場するまでに主幹事証券会社を5回変更したり、上場申請を取り下げた経験があります。


主幹事証券というのは、会社が株式公開をするにあたり、その会社が上場に値するかどうかを審査し、上場時の株式の販売をメインで担当する証券会社のことです。


ある程度長い期間(半年以上)に渡って頻繁に会議をしたり、資料を一緒に作ったりするので、上場会社の経営陣(CEOやCFO)と担当者は親しくなるケースが少なくありません。
逆に言えば担当者との信頼関係が結構重要な鍵を握っています。


主幹事証券の変更は、うちの会社の事由というよりは、証券会社内部のパワーバランスが変わってしまったとか、証券会社内の優先順位で後回しにされたとか、外資系証券会社の本社方針が変わったとか色々あるのですが、いずれにせよ5社も変わりました。

逆を言えばⅠの部(上場申請のための有価証券報告書という資料)を5回も作り直したことになります。


そんな中で私の中で印象深いのは、やはり申請を取り下げたこと。
もう目論見書の印刷も終わっていて、ロードショーの準備をしていたときだけにインパクトは小さくありませんでした。


そのときの主幹事証券の担当者の方々とは、徹夜で一緒に資料づくりなどをしたこともあって、未だにお付き合いがあります。(何度か『hirog』で触れている木根渕氏 はその一人です)


今日は、とある親しい会社の社長と食事をご一緒していたのですが、そこの会社も昨年上場申請を取り下げた経験があったので、何気にそんな話をしていたら、なんと担当者が同じ方(Iさん)でした。


うちの上場が果たせずに未練が残ったそのIさんは、その後IPOに力を入れている他社に転職され、そこで上場支援を行っているということは知っていたのですが、まさか同じ方だとはビックリでした。


そのIさんにしてみれば、当社、その会社と、上場申請を取り下げたことになり、相当悔しい思いをされたのではないでしょうか。
でもこれも何かの縁だと思います。