私が中国で最も行ってみたい場所、チベット・・・。
以前の『hirog』で「チベットの神秘」 として触れたことがあります。


そのチベットで大きな暴動が起きました。

中国の行政区分は、23の省、5つの自治区、4つの直轄市、2特別行政区に分かれていますが、今回事件があったのは「チベット(西蔵)自治区」で、現在の国家主席である胡錦濤が以前党書記を務めていた地域でもあります。


チベット自治区は人口はわずか270万人ぐらいしかいないのですが、チベット族が93%を占め、漢族が6%しかいません。

中国は圧倒的に漢族が多いものの他民族国家なので、少数民族が多い地域は彼らの自治を尊重して自治区とし、色々な優遇措置を設けているのです。
逆に言えば、政府が完全にコントロールしているわけではないということもできます。


今回の暴動は、僧侶達が「チベット独立」を掲げて地元警察と衝突、漢族(一般の中国人)の商店を襲撃したと報道されており、10名以上が死亡したとのこと。
このため、政府は外国人と一般中国人の自治区入りを禁じているそうで、20年ぶりの厳戒態勢をしいているとか。


今回の事件は、2つの大きな意味を持っています。
1つは、国営の「新華社通信」がこの事件を報道したこと。
中国ではメディア統制が行われているため、こういった地方で発生したデモや暴動は報道されないことがほとんどなのです。

2つ目は、この時期であること。
今年は北京オリンピック開催の年であり、この成功は政府の至上命題でもあります。
政府の威信にかけても暴動は制圧しなくてはならない一方、武力鎮圧は国際的非難を浴びるため、政府は難しい選択を迫られていると思います。


また、中国政府は、インドの亡命政府の「ダライ・ラマ」派の画策であると断定したことで、甘粛省のチベット族自治州にもデモが飛び火しているようで、この辺のシコリが今度もくすぶることが予想されます。