大牟田駅を8時21分に出る鳥栖行きで出発。

 行き先は決まっていない。

 本来の予定であるならば大牟田近辺でバスの撮影をするところだったが、気が変わりいつの間にか改札を通過していた。車内でどこに行くかを定める。

 2両編成の車内の混雑率はそこまで高くなく、難なく座れた。途中の羽犬塚、久留米などから人が多く乗ってきて、若干立ち客がで始めた頃鳥栖に到着。

 一旦改札を出て券売機で切符を買う。この切符については後で詳しく説明する。

 10分程度で改札に入り直し、快速電車の小倉行きに乗車。しかし程なくして原田で下車し乗り継ぎ。

 ここまでは旅の序章に過ぎない。


 乗り継いだ先は原田線。
 博多駅から30分程度ながら、1日わずか8往復のローカル線。しかし、「大都市近郊区間」に含まれるため大回り乗車の経路に組み込むことが可能である。
 ここから先ほど鳥栖駅で購入した切符を使用する。その切符は原田→天拝山と書かれた210円の乗車券。
天拝山は原田の一つ博多寄りにある鹿児島本線の駅である。
それなのに原田線に乗るとはキセル乗車なのではないか?そんな疑問が湧きそうだが実は違う。
 先述した「大都市近郊区間」とは、都市部は線路が入り乱れている大都市において、A駅からB駅に移動する際、経路の特定ができないので乗車路線が重複しなければどんな経路で行っても問題ない、という切符のルールである。例えば、東京駅から山手線で神田駅に行く場合は内回りの電車で一駅150円だが、外回りの電車に乗って、品川、新宿、上野と大きく回って神田駅に行っても同じ150円である。
 この制度は新潟、仙台、東京近郊、大阪近郊、そして福岡で設定されている。
 今回はその大回り乗車をしてみようと思う。
 かなり前置きが長くなったが、とりあえず駒を進める。原田線は今回が初で、ワクワクしながら車内に入ると10人程度の人。客層はマニアでは無さそうな人が殆どに感じる。確かに本数は少ないが、休日でもある程度の需要はあるようで驚く。
 原田を発車後、直ぐに鹿児島本線と分かれ山に入っていく。沿線の伸びた木の枝が車体に当たる音がする。かなりローカルな雰囲気である。
 一旦景色が開けたと思ったら西鉄の線路を跨ぐ。遠くにアイスグリーンの色をした列車が走っている。そのまま平地を走り、筑前山家駅に到着。キャリーケースを引いた中年の女性が乗ってくる。やはり少ないながらも利用はある。
 筑前山家を出ると一気に山の景色へと変貌し、低速で車体を右へ左へ傾ける。峠に差し掛かりそうな雰囲気があり、その勢いで冷水トンネルに入る。直前まで遠心力でウネウネしていた列車はトンネル内で速度を上げる。地図を見ると、トンネルの所だけ線路が真っ直ぐに敷かれている。トンネルの中腹辺りでエンジンの唸る音が止み、そのまま筑前内野に到着する。停車ホームの反対側のホームは線路が剥がされている。実はこの路線、かつては博多は用が無い寝台特急等が走るルートだったようで、かつては全ての駅が交換可能であった。現在使用されているのは全て一面のホームと一線の線路だけとなっている。
 そのまま大きな勾配も無く走り、左手に変電所が見えてくると福北ゆたか線(筑豊本線)と合流し桂川に到着。
ホームを移り快速直方行きに乗り換え数駅先の新飯塚で下車。  
 乗り継ぎ時間が40分近くあるのでトイレに行くと3人位の列が出来ている。この並びはおかしいと思い、私まであと一人という所で中を見ると、スーツ姿のおじさんが二つある便器の一人を占領していた。その隣の人も終わり、私の番が廻ってきたところでようやくおじさんはトイレを終える。すると洗面台に行くなり歯みがきを始めたではないか!洗面台も二つしか無くまた列が発生する。あまりにもそのおじさんは周りが見えていない様子だった。
 なんやかんやでトイレを済ませ3番乗り場から後藤寺線田川後藤寺行きに乗車。途中の下鴨生で離合した列車はまさかの日田彦山線BRTラッピングであった。
※写真の手前の車両

とっくにラッピング期間は終わっているはずだが、何故かまだ運用に就いている。
 下鴨生から数駅進んだ船尾は異常な光景がひろがっていた。周辺の植物は雪が積もったかの様にうっすらと白くなっており、駅の駐車場に停まっていたセダン車は薄汚れていた。これは、すぐ近くに麻生セメント田川工場があるためである。そこからセメントの粉が舞い、このような光景を産み出している。
 もう既に田植えが始まっていた田んぼを眺めつつ田川後藤寺に到着。日田彦山線、後藤寺線、平成筑豊鉄道伊田線が合流するこの辺りの主要駅であるが、乗り入れる路線は全て非電化である。駅の外を見ると、ロータリーで何かイベントをやっていた。
改札の外に出られないため何をやっているのかまでは見られなかったが、人が多く集まっていて活気があるように見られる。
 30分程度の接続で日田彦山線小倉行きに乗車。車窓に頂上が真っ平らな山が見えてきてその名を香春岳と言う。香春岳は石灰石で出来た山であり、僕らの生まれてくるずっとずっと前から石灰が掘られているのであの様な見た目になる。ここも麻生関連であるようで、権力の強さを感じる。
 そこから先は少しづつ北九州都市圏に入り志井を過ぎるとその趣向が強くなってくる。城野で日豊本線と合流し西小倉で下車。鹿児島本線に乗り換え折尾で下車し、ホーム下の東筑軒でオーソドックスなかしわうどんを啜る。学生なので1ヶ月有効のおにぎり割引券を頂く。
 駅構内で暫く時間を潰し、若松線の乗り場に向かう。とは言っても若松線に乗るわけではない。とある列車を撮りに行く。

 そのとある列車というのはこのマヤ検である。最近は走るたびにラストランが疑われるが、恐らく正真正銘これが最後の検測であろう。撮影者も少なく、わずか10分の停車時間であったが大いに堪能した。
 発車を見送った後は鹿児島本線の乗り場に戻り、区間快速鳥栖行きで香椎まで向かう。香椎からは香椎線に乗車。宇美行きの819系で長者原下車、二度目の福北ゆたか線で博多行きに乗車し、博多で普通列車二日市行きに対面で乗り換える。
 それなりに混雑した2列車が同時にホームに到着した影響で、階段付近では人々が犇めく様子を見ながら列車は出発していく。
 二日市に到着。終点の天拝山まであと一駅という所で胸が高鳴るが、厄介な事になった。車掌の乗り換え放送によると、接続の列車は約25分後だそうである。
 あと一駅なのにここで足止めを喰らうとは。想定外の事ではあったが、ホームのベンチで時刻表を読んでいるうちに時間はあっという間に過ぎてその時がやってきた。
 西日が差し込む8両ロングシートの車内はガラガラ。旅のクライマックスに相応しい列車だも思うが、いかがであるか。
 遂に終点の天拝山に到着。反対側のホームにも丁度列車が到着し、旅行にでも行っていたのか園児と引率の先生がゾロゾロと跨線橋を渡ってきた。
 更に駅の西側にはイオンモール筑紫野があり、若い客も目立った。
その人たちが捌けるのを待ってから改札に向かう。先の訪問者さんのブログを拝見させていただいた所、キセル対策か何かで駅員が居るとのことだったが、時間外なのか不在だった。
 駅の回収箱に切符を入れ、改札を出る。
 初の大回り乗車、かなり堪能できたと思い、達成感がこみあげる。
 イオンモールとは反対側に進み、商店街の様な道を暫く歩くと踏切が見え、西鉄の駅に着いた。朝倉街道駅である。
 そのまま南下し、久留米で特急に乗り換え帰宅した。JRと比較すると西鉄の方が運賃が幾らか安かった。

今回はいつもと違った方式で文章を書いてみましたがどうですか?校正する人もおらず、めちゃくちゃな文になっているところもあるとは思いますが、改善点や良かった所などを感想を書いていただくと幸いです。

それでは、最後までご覧いただきありがとうございました。