」を読む。
「江戸のすべてを敵にまわした」と、帯に書かれていた。
「ぼろ鳶組」の頭取並、鳥越新之助が、罠にはまり、
一家惨殺、火付けの下手人として、追われ、
江戸を逃げ回る。
で、帯の話。
「すべて」は敵に回っていないのだ。
熱い男たちは、ただただ、新之助の無実を信じ、
新之助の逃亡に手を貸す。
同じ組だけでなく、火消仲間への強い信頼が、
ゆるぎない絆を生んでいる。
こうなるともう、男の熱い世界だ。
ぼろ鳶、頭取の源吾は言うまでもなく、
登場人物の一人ひとりがやたらと魅力的で、
十分、主人公に成り得る。
スピンオフがいくらでも出てきそう。
何らかの能力を備えた各自の活躍が、作品ごとの醍醐味だ。
そして、捕り方に包囲され、逃げ道を絶たれた新之助は、
夜空にむかって吠えるのだ。「御頭!」と…。