鱗や繁盛記」を読む。
騙されて、田舎から江戸の料理屋、「鱗や」に連れてこられた少女、お末。
だが、そこは、料理屋とは名ばかりの、曖昧宿のようなものだった。
主や女将、中居たちから、怒鳴られ、こき使われる日々。
そんな中、若旦那の八十八朗だけは、優しく接してくれる。
彼は、店を一流の料理屋にしたいという夢を、お末に語ってくれるのだ。
お末は、八十八朗の気持ちが嬉しく、彼の力になりたいと、心を明るくする。
話が進むにつれ、「鱗や」は、かつて名店であったことが分かってくる。
一流の名店が、なぜ、こんな料理屋に…。
その裏には、悲しい物語が、そして、それは、復讐劇へと発展していく。
明るいゴールが想像できそうな、単なるお店再生物語、少女の成長物語ではなく、
人の闇がちらほら顔を出して、結構、読み応えがあるものになっている。
主人公とはいえ、お末が、決して出しゃばらず、
それでいて、最後まで明るく、八十八朗を支えようとする態度が好ましい。
さらに、意地が悪かった中居たち、そして板前の軍平らが、徐々に、
団結していく姿も気持ちよい。