あさのあつこさんの「風を繍う 剣と針 縫箔屋事件帖」を読む。
縫箔屋という、職人一家をめぐる物語。
恥ずかしながら、「縫箔」という言葉に初めて出会った。
この作家さんの描く、江戸の事件帖では、
まず「おいち」シリーズを楽しんでいる。
明るくて、おきゃんで、頑張り屋でな女主人公は、好きなのだが、
この作品の、おちえでは、なかなか感情が寄り添っていかなかった。
どうも、うるさい。
心の声が、しょっちゅう、ダダ洩れしている。
それも、気持ちが上がったり下がったりで、
それに付き合っていると、疲れる。
年頃の女の子の心の中は、こんなものかと思うのだが、
「おいち」はそれでも、もう少し、落ち着いている。
ま、ワタシがもう、おばあちゃんの年齢だから、
孫の言動に疲れを覚えるのと、似たようなものだろう。
こういう時は、主人公を取り巻く、周囲の人物に心が魅かれる。
父親の仙助、母親のお滝は、なかなかのつわもので、
さらに、「おいち」シリーズにも登場する岡っ引きの仙五朗が、
こちらでも顔を見せてくれるのは、嬉しい。
個人的には、こういう、渋い人物たちに心がついていく。
縫箔屋「丸仙」に、旗本の息子が、弟子入りを願って通ってくる。
同じころ、市中では、若い娘を斬殺する事件が続いていた。
剣術の達人だというおちえのキャラ設定で、
今後も、剣が絡んだ事件が起きてゆくのだろう。
シリーズ化されて、すでに三作出ている。