砂原浩太朗さんの「小石川養生所青春譜」を読む。

 

父親の急逝によって、小石川養生所見廻り同心の職を
継いだ結城長三郎の成長の物語。

この作家さんの持ち味だろうが、一つ一つ、
踏みしめて前へ進むような、確かさと安定さが
この物語にも感じられる。

父親と息子の間に横たわる溝、それは、いつの時代にも
存在するものだろう。

物語の中でも、仲の良い父と息子という図は、
なかなか、お目にかからない。

だが、父亡きあと、その職を継いだ息子は、
お役目の中で、父の存在を、否応もなしに
感じることになる。

養生所の中の隠された不正を探ろうとしていた父。

その父の密偵から、つなぎの文が届くようになり…。

誰が密偵なのか…。

長三郎は、その闇と向き合うことになる。