「北の御番所 反骨日録 捕り違え」を読む。
このシリーズをバタバタと八巻まで読み進めるうち、
裄沢に対する周りの目が、ずいぶんとあたたかくなって
きたのを感じる。
それは、上から、周りから何を言われようと、
自分が正しいと思った方向に突き進む彼の性格が、
正しく受け止められるようになったこと、また、
その行いが間違いではなく、事件が正しく解き明かされて
きたからだろう。
三話目の「陥穽」では、組織内で理不尽な扱いに
耐えていた同心の安楽が、「誰を相手にしようが、
自分の思うところを少しも曲げようとせず、真っ向から
歯向かいながら」周囲からの信頼を集める裄沢を
恨み、彼を葬り去ろうと企む。
それはまったく、見当違いな恨みとしか言えないのだが、
「裄沢広二郎―-お前はいってえ何だ。」と、
ぼやきたくなる気持ちが、何だか、哀れだ。
裄沢は、一歩間違えば、自分が安楽になりうると、
述懐するが、「お前さんはならねえよ。どう逆立ち
したってならねえさ」と言い切る来合の、裄沢への
思いがあたたかい。
