あさのあつこさんの「八州の風手控え帳」を読む。

 

関八州廻りといえば、荒っぽいイメージがあるが、
主人公、一柳直四郎は荒事などはとりわけ苦手、
物事はすべて理詰めで解決できると信じている、
一風変わったキャラ。

ただ、洞察力、推理力は見事なものなのだが、
頭にさまざまな知識が詰まっているせいか、
蘊蓄を語り始めたら際限がなく、従者の矢助に
たしなめられることしばしば。

このやり取りは、たまに、まわりくどく感じられる。

この作家さんの時代小説は、近頃、
主人公のおしゃべりが半端なく、これが、最近の
スタイルになっているのだろう。

直四郎のキャラは、ひっかかるところもあるが、
義姉の明子を筆頭に、彼を取り巻く脇役たち、
特に女性陣がなかなか面白い。

これはこれで楽しいが、個人的には、
「弥勒」シリーズの、闇を抱えたクセのある男たちの、
息詰まるようなやり取りが好物ではある。

百姓の息子の首つり死体が見つかり、自死とされる。
だが、母親は「息子は殺された」と直四郎に訴え…。