幕末と新時代の狭間の激動に身を投じた二人の男の物語。
歴史小説とも、探偵ものとも、ハードボイルドともいえる、
濃密な作品で、面白かった。
一人は鹿野師光という、尾張藩の公用人で、
もう一人は、実在の人物、江藤新平。
この二人がひょんなことからバディとなり、
密室の刺殺体、死刑を目の前にした囚人の毒死など、
五つの怪事件に挑む。
二人の立ち位置は、江藤が名探偵ホームズとワトソン君かなと思いきや、
鹿野の重みはハンパない。
強烈な江藤のキャラに引っ張られながらも、
お互いを無二のものと感じる二人。
だが、ある事件をきっかけに、
それぞれの正義にズレが生じる。
きっと、どちらも間違ってはいない、だが…。
最終話が、切ない。