「本所おけら長屋 (一)(二)」を読む。
「長屋」モノの時代小説。
軽いノリで進んでいくのだろうと思っていた。
だが、軽いばかりではなく、ある種の重み、深味ももっている。
長屋モノだから、登場人物は比較的多く、
わさわさしそうなのだが、一人ひとりが強烈な個性を持ち、
輝いている。
誰もが主人公で、脇役で。
長屋の良心である、大家の徳兵衛、住人唯一の侍、島田鉄斎、
「万松は禍の元」と言われる、米屋に奉公する万造と、
酒屋の奉公人、松吉、左官職人の八五郎一家など、
一人ひとりが騒ぎを起こし、巻き込まれ、
休む暇もない。
特に、万松と徳兵衛のやり取りなんかは、
落語の八っつあん、熊さんの掛け合いを見ているようで、
クスっとしてしまう場面だらけだ。
この長屋には、悪意のかけらもなく、
「長屋は一つの家族」で、お節介ではありながら、
誰もが自分のことのように、泣いたり笑ったり、首を突っ込んだり…。
こんなところに住んでいたら、
時にはうっとうしいかもしれないが、
決して寂しくも、不安にもならないだろうなぁ、と、
羨ましくもある。
日常のさまざまな騒ぎから、辻斬り騒動まで。
二十巻まで(完結?)出ているそうだから、
まだまだ、楽しめる。