辻堂魁さんの「花の嵐 吟味方与力人情控」を読む。
あ~、面白かったで終わることを期待する
時代小説エンタテインメントとしては、
共感できないところがあった。
罪がない、弱い人間が踏みにじられ、
で、最後まで踏みにじられっぱなしだったような。
主人公である、吟味方与力、鼓晋作にも、
それほどヒーロー感は抱かなかった。
さらに、副題が「人情控」となっていたが、
あまり、人情は感じられない。
江戸町会所積立金の使途不明に関して、
ただの一書役である藤吉に、すべての罪をかぶせ、
彼の家族を斬殺、藤吉の命も奪おうとした権力者たち。
十一年後、その権力者たちが次々に殺害される。
鼓は、吟味方として、使途不明金事件にも関わったのだが、
決着はうやむやのまま、上から調べの終了を言い渡された。
復讐劇というのは、もともと救われないもので、
藤吉が修羅となってしまったのもうなずけ、
ただただ、藤吉が哀れだった。
鼓の役割、薄かった気がする。