読む。
「弥勒」シリーズの、すでに十一作目。
第一ページ、最初の行から不穏で、剣呑な雰囲気に支配される。
このシリーズは、そんな作品だ。
この作家さんの、他の時代小説とは、少々異質の。
常に、何か、穏やかでないことが起こりそうで、
不安に駆られながらも、先へ先へと、ページを繰る手が止まらない。
信次郎が姿を消した。のっけからだ。
彼の屋敷に捕り方が踏み込んだ。
だが、そこはもぬけの殻。
信次郎はどこに行ったのか。何があったのか。
最初から、これじゃ、もう、最後まで本を閉じずに、
突っ走るしかない。
いつもそうだが、読むごとに、息苦しさが増す。
清之介や、伊佐治の心の内を暴くように、言葉が連なっていく。
その言葉が重い。
ただ、信次郎の心の内は語られない。
いつも、外から、清之介や伊佐治が思う信次郎しか、
見えない。
このシリーズで、真の信次郎が描かれることは、
あるのだろうか。
今回は、信次郎が姿を消した、特殊な設定なので、
清之介と信次郎のやり取りは、少ない。
いつものように、清之介をえぐるような嫌味も、それほど聞かれない。
時々、清之介を、あまりいじめないで、なんて、
思ってしまうが、
二人のやり取り(殆ど、清之介に対する嫌味だが)は、
麻薬のようにクセになってしまい、
ないはないで、寂しい。
ここまで(十一作目)くると、
二人の関係は、「共依存」に近いものがあるんじゃないかと、思ってしまう。
もう、どちらかが欠けても、生きてはいけないんじゃないかと。