梶よう子さんの「三年長屋」を読む。
軽く、読みやすい時代小説。
長屋モノは、大体が、登場人物も多く、
人の想いのいったり、きたりで、
嫌な気分にならないのがいい。
チャンチャンバラバラはないけど、
これも、元武士の差配を中心に、
長屋のかみさん連中や、その亭主など、
住民たちが、日常の厄介ごとから始まって、
私欲に走る悪徳家主や、その取り巻き、そして
癒着する同心などを、知恵を使って、懲らしめていく。
まぎれもなく、痛快時代小説だ。
三年住むと幸運をつかむといわれる「三年長屋」。
その差配人である佐平治は、妻を亡くし、さらに、娘と生き別れ、
蹌踉としているところを、家主のお梅に拾われ、
長屋の差配人を任じられる。
新米の差配だが、「差し出がましいようですが」と言いながら、
持ち前のお節介さをいかんなく発揮し、
夫婦喧嘩や捨て子など、長屋に起こる騒動に、
真正面から取り組んでいく。