「うらぎり長屋」を読む。

 

社会の底辺の、そのまた底にあるような長屋。
表長屋、「霧座衛門長屋」の裏にあるから、
「うらぎり長屋」と呼ばれる。

どん詰まりの人生を生きるしかない者たちが、
集まっている。

個人的には、長屋ものにはずれはないと、
手に取り、そして、やはりと、唸る。

装丁が、実にいい。


一度つまずいた者は、二度と浮かび上がれない
のだろうか。

もともと、浮かび上がろうなどと考えること自体、
おこがましいのだろうか。

「一寸の虫にも五分の魂」なんて、もう、あまり
聞かれなくなったフレーズが頭に浮かぶ。

虫は虫らしく、底の底を這いずり回っていなければ
ならないのか。

それでも、と思う。

うらぎり長屋を舞台にした七話。

愚かさばかりが目立つ生き方も、踏みにじられる
生き方も、切ない。

切ないままで、救われない結末が、胸を塞ぐのだが、
それだけではない、爽やかさ、いっその清々しさも
感じられる。

どちらにしても、男ってバカだな、女ってたくましいな、
そんな思いを抱かされる数話があって、
うらぎり長屋の住人が、たまらなく、愛おしい。