「木挽町のあだ討ち」を読む。
構成がお見事。
木挽町の芝居小屋の前で、まるで芝居を見るような、
ある一つのあだ討ちが成就する。
そして二年後、ある侍が、そのあだ討ちを目撃した
人々をまわり、それぞれ目にした事実を聞いて
回る。
彼は、あだ討ちを成し遂げた侍の縁者だといい、
あだ討ちの様子の他に、語りの素性や来し方を
聞くようにいわれたという。
初めは、目撃者の素性や来し方を尋ねる侍の
狙いが謎めいていて気にかかったが、そのうち、
そんなことどうでもよくなるほど、目撃者の語り、
その来し方に引き込まれていった。
目撃者の間を回り終わるころ、そのあだ討ちの
背景や意味が明らかになってくる。
江戸の市井、特に芝居町に住む人々の心意気に、
胸が震える、そんな物語である。
