従って英国の栽培者は、五五シリングで売ってよいのに、その全収穫に対して五七シリングを得ることとなる。スミス博士は、五シリングの奨励金は国内市場の穀物価格を四シリングだけ騰貴せしめるものと想像している。しかしこれは明かに、外国の穀物栽培価格は国内よりも低くはないという仮定に基づくものであり、そしてこの場合彼れの仮定はおそらく正しくないのである。しかしながら前に仮定した場合には、農業者の特別利潤は二シリングに過ぎないであろう。この騰貴が続く限り農業利潤は騰貴し、彼は穀物の増産を奨励されるであろう。従って翌年には供給は前年の購買者数に比例して増加し、そしてこの追加量を消失させるためには価格が下落しなければならない。そしてそれは云うまでもなく、外国市場においても国内市場においても下落するであろうが、けだし何らかの輸出が続いている間は、国内市場の価格は外国市場の価格に奨励金を加えたものによって左右されるからである。この下落は大したことはないかもしれぬが、それでもやはり結果はこの方向に向い、そして第一年以後は穀物の価格はしばらくの間引続き以前の水準に向って下落するであろう。しかしながら同時に、外国では穀物が低廉であるために、購買者数は徐々として増加する傾向を有ち、そして穀物に対する有効需要は、啻に最近の下落した傾向においてのみならず、本来のまたはもっと高い価格においてすら、拡大されるであろう。しかしこの種の拡大がありさえすれば、外国における穀物価格は国内の栽培価格により[#「より」に傍点]近い水準に騰貴する傾向があり、従って英国の農業者が奨励金により受ける利益は増大するであろう。