薄い本なのでサクッと感想文。
本書は第2次大戦の時、諜報部隊として組織されたOSS(後のCIA) が素人にもできるサボタージュという観点で作成したパンフレットの抜粋で、トイレを詰まらせろとか機械を故障させろ等、微妙に困る事を具体例を用いて記述している。公文書で公開されているので、英語ができる人は直接読めばタダだ。→https://www.cia.gov/news-information/featured-story-archive/2012-featured-story-archive/CleanedUOSSSimpleSabotage_sm.pdf
ネットで話題となったのは、11.組織や生産に対する一般的な妨害の箇所。
・通信、議事録、決議の細か言い回しを巡って議論しろ
・重要な仕事をするときは会議を開け
など、項目で50個ほど書かれている。現代で普通にやってることがサボタージュ(生産性の低下)として推奨されていることに、風刺が効いていて刺激的!ということだろう。
感想としては、今でいう行動経済学の認知バイアスとか同調バイアス等が意思決定を歪ませる、ひいては無駄な会議で疲弊するという最近よく聞く話題を先取りしてパンフレットにしているのが趣深い。ただ、読むべき個所は件の所だけにもかかわらず1500円ぐらいするので、やや高い買い物だった。
サボタージュで敵を困らせようということだが、本当にヤベー奴らにそれをすると(飢饉の時期と重なると死亡率うなぎ上りの)強制収容所送りをモロ食らうのが歴史の教訓。そもそも何も悪いことをしてないのに、反革命的だのトロツキー的だーだのレッテル張りで濡れ衣を着せてくる共産主義相手にサボタージュなんて(((((( ;゚Д゚))))))ガクガクブルブル。サボタージュで害を与えるよりも自分の命を守るため、まともな国に亡命する方が良いと思うのだが。