フォワードプレミアムパズル | メトロポリスパート3

メトロポリスパート3

読書記録メイン、たまにCDレビュー。興味のある英文記事の和訳

昔、世界の主要通貨に比べて円の金利はとても低かったので、円を借りて違う国に投資するのがブームとなった。(円キャリートレード)

 

現在、世界中で金利が低下しているので、これをするメリットは無い。

 

そもそも、低金利の円を借りて高金利の通貨に投資、という発想は為替レートと金利は同時に決定(金利平価説)するのでナンセンス・・・

 

のはずが、そうとは言えない現象、フォワードプレミアムパズルなるものが成立している(していた?)らしい。

 

これについて調べていたら、安達誠司さんが国土交通省で講演したと思しき資料を発見した→PDF(2015年7月15日資料)

 

以下、資料の内容を軽く抜粋。

 

この件でよく引用されるのが、ノーベル経済学賞を受賞したファーマの検証で、金利平価説を否定していた(現実にはそうなってないの意味)。

 

データの参照期間がリーマンショック前だと当てはまる。最近を含めたデータで検証してみると、やはり金利平価説は当てはまらない。

 

フォワードプレミアムパズルはまちまち(網掛けになってるペアでキャリートレードがうまくいった)。

 

安達さんはフォワードプレミアムパズルを解くためMB(マネタリーベース)の増減率を説明変数に加えた修正ファーマ回帰を行った。

 

結果はP14。特に日本を調達通貨とした場合に、MBの増減率で説明できる。つまり、MBが増えれば通貨安、減れば通貨高というソロスチャート的な考え方が円ではよく当てはまる。

 

【キャリートレードクラッシュ】

 

次ページからは、前述のMBの増減が通貨の変動に影響するという考察に関連して、調達通貨のMBの増加が将来の急激な通貨安を起こす(個人的には狭義のキャリートレードクラッシュという認識)かどうかを考察している。(この辺から頭がこんがらがる)

 

結果はP16,17のとおり。キャリートレードクラッシュは金融政策で起こるとは統計的には言えない。

 

次のページからは統計用語が難しく素人にはよく分からないが、結論のみいうと、キャリートレードクラッシュは長期均衡値からの乖離を平均に回帰させるプロセスであることが言えるようだ。

 

結論は資料にもあるが、ここでは個人的に総括。

・円キャリートレードがワークする通貨があった

・それより(特に円については)、MBの増減率を見るべし

・キャリートレードクラッシュは金融緩和のせいで起こる、は違う

・長期均衡値の逸脱からの平均への戻りがキャリートレードクラッシュの原因

・ということは、長期均衡値から離れた地点で平均に戻ると利益になるようなポジションを取れば儲かるのでは?

 

とりあえず、FXをやってた身としてはもっと早く知りたかったし、知ったところで儲けられる可能性は微妙だなぁといった感じ。

 

ちなみに、キャリートレードについて調べてたら日銀のペーパーも見つけて読んでみた→日銀レビュー

 

リーマン前に先進国で金融緩和をしてたからバブルが起こって、バブルがはじけて日本で通貨高が起こってますなぁという感じ。

 

金融政策で円高を何とかしようという問題意識は一切感じない。民主党、白川総裁時代の地獄の円高時代を思い出したらはらわたが煮えくる。

 

安倍政権の支持率が低く、金融政策否定の増税派しか国会にいないのではという現状、またあの時代が返って来るような気がして怖い。怖すぎる