線維筋痛症患者は痛みに弱いのか | きんつう相談室 〜線維筋痛症、慢性疼痛、疲労に悩む方へ〜

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イメージイラスト。熱いヤカンを触った幼児が火傷した手を掲げて驚き泣いている

 


 

線維筋痛症は痛みの閾値が下がっている、つまりセンサーが大変過敏になっているので、普通なら少し触れた程度で痛いとは感じないのに、患者はひどく擦ったように感じられる。これは閾値(いきち:異常を感知する最小の値)を測定すればわかることで、なかなか閾値を上げていくことが難しい。


羹(あつもの)に懲りて膾(なます)を吹くという諺のように、一度痛い目に合うと警戒するようになるのは当然だ。患者はたくさん痛い思いを経験するので、警戒心が強くビクビクすることになる。これも当然だ。

そもそも危険を避けるために痛みはあるのだから。

子供の頃熱い薬缶(やかん)に触って火傷した経験は誰でもあるだろう。熱いものに触っては危険だ、痛いと学習していくのだ。痛みはそのために存在するものでもあるので、用心深くなってしまう事は充分あり得る。


思いが間違っている場合もある。虫が怖い人は、いたずらで置かれたおもちゃの虫にもギャーっと悲鳴をあげてしまう。危険は早めに察知しなければ意味がないので、形が似ているというだけですぐに反応する必要があるから当然だ。

痛みに関しても過去の経験から、こういうときには痛いと学習しているので、似ているけれども違う状況の時も痛みとして反応してしまう。これも当然のことだ。この場合はかなり治せる可能性がある。


一方で痛みに慣れてしまっている例もある。

研究では、線維筋痛症患者は他の疾患に比べ、痛みをVAS(0~10までの数字や線で感覚的に表す痛み評価法)で少なめに表現する傾向があることがわかっている。いつも痛いのでこれくらいはまあまあ普通だと考えているためだ。

痛みに苦しんでいても活動してしまうタイプの人はこれにあたる。このタイプは無理をするのに慣れていて、セルフネグレクトの傾向があり、少し治すのが難しい。


痛みを記憶しているタイプもある。痛みは当然辛い出来事なので、しばらくの間は記憶している。ただ時間が経つと薄れていくのだが、記憶を何度も再生することが線維筋痛症患者には起こり得る。

もちろん好んで想い起こすわけではない。痛みはいろいろな感情や情景とくっつきやすく、つまり痛みには検索項目がたくさんあって、どれかが引っかかればすぐに痛みが呼び出されるという仕組みになっている場合がある。

 

先にも書いたように熱い薬缶に触って火傷したなら、他の熱いものにも警戒するようになる。幅広く警戒できる方が安全を確保できる。学習とはそういうものだから。

痛みの経験がいろいろなことにつながって記憶され、検索項目が多くなるのは当然だ。ただそれがあまりにも広い範囲に強く結びつけられ、記憶が蘇ると患者にとっては大変辛いことになる。この場合はある程度切り離していく作業が必要になる。


体が弱っている時は痛みや不安を強く感じるものだ。体力がない人もそうだ。

生き物として弱い、充分力を発揮できない場合、これではなおさら警戒しなければ生きていけない。不安が強くなり、小さい情報もたくさん拾ってしまうことになる。

この場合は体そのものを強くしていくことが良い。体が少し強くなると自信にもつながる。

 

なぜ痛みというものがあるのかを考えれば、必要なものだとわかるが、患者にとってはつらいものだ。それぞれの人の状況に合わせて対応策を考えていくことが必要だと思う。

 

(代表:橋本 裕子)

 

 

 

 

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