意外に知らない赤血球の話:永田勝太郎先生インタビュー その1 | きんつう相談室 〜線維筋痛症、慢性疼痛、疲労に悩む方へ〜

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赤血球で酸素が運ばれるということは皆様もご存知だと思いますが、実は赤血球についてはあまり知られていないことも多いため、千代田国際クリニック院長の永田勝太郎先生にインタビューして来ました。

「糖化・酸化による赤血球の変形」についてのお話を伺えましたので、今日から3回に分けてお届けいたします。

 


 

 

橋本:先生のクリニックを受診すると、一滴の血液を顕微鏡で見ていただけます。これはとても驚きです。一滴の血液からどんなことが分かるのでしょうか。

 

 

永田:慢性の痛み、線維筋痛症の痛みはその人の人生にとって一体どういう意味があるのだろうか、そう考えてみたときに痛みはあってほしくないないわけです。しかし、痛みという事実はあるので、これをどう改善して患者さんに元気になっていただくかと考えます。

 

痛みには2通りあります。転んで痛いとか、怪我して痛いというのと線維筋痛症の痛みはちょっと違います。

その人にとっては痛みは間違いなく事実としてある。彼らは痛みとしてしか表現できないけれど、これが苦痛であって疲労感も伴うし、不眠も伴って、ちょっと複雑な体全体の不快感をもっているわけです。

 

僕らは40年痛みの患者さんを見てきて、痛みはどんな意味を持っているんだろうとずっと考えていたんです。意味がないはずは無いんだけれど、どうしてあんなに苦しいんだろう、苦しい思いをしなければならないのかということを考えてきて、ようやくわかってきたことがあります。

 

痛みと言うのは人間の一生の中で考えると、健康な赤ちゃんで生まれてきて一生を生きて死んでいくわけですよね、その間が100年くらい。死ぬ前の状態が心筋梗塞、脳卒中、がんなどといった重篤な病気。ほとんどの重篤な病気は生活習慣病なので、20年30年という長い時間をかけて出来上がる病気ですね。

この病気の初期の状態、「未病」の状態で一体何があるのかということを考えたときに、これが痛みと疲労ではないかと考えたのです。

 

ところが痛みと疲労はなかなか目に見えない。みんながわかるような物差しでもって表現することができないためにお互いにコミュニケーションを取ることができないでイライラしてくる。

何かわかる形ができないだろうかと考えました。

 

人間が持っている自然治癒力、例えばちょっと風邪をひいても寝れば治るとか卵酒飲めば元気になるというように、多くの場合人間には元に戻る力、元気になる力があります。それが自律神経、免疫機能なんです。ホメオスタシス(恒常性)と呼ばれるものです。

 

ちょっと抽象的になるのでわかりやすい言葉で言うと、糖化、酸化、血流不全という3つの大きな問題が出てきます。

ホメオスタシスの歪みというのは人間の加齢現象、老化現象、遺伝的体質、生活習慣の歪み、コロナのような感染症やPM2.5などの環境汚染、こういうものから起きてきます。

 

ここで痛みというのは実は大きな器質的な病気が起こる前の警鐘、アラームではないかと考えることができます。

この糖化、酸化、血行動態は目に見えるようにする事が出来ます。酸化は酸化ストレスを測ればよい。血行動態は詳しい血圧を測ればよい。問題は糖化ですね。糖化を測るのはなかなか難しい。

 

糖化というのは2段階あります。いわゆる AGEs(終末糖化産物)というのは、いわゆる糖化の2段階の後の方で、その前の状態を見る方法が無かった。

それを我々は探していたんです、ずっと。そして見つけたのが、この、特殊な暗視野顕微鏡で赤血球を見るという方法です。

 

 

正常な赤血球の写真。正円に近いリング状の形の赤血球が一つ一つ、隣の赤血球とくっついたり離れたりしている状態

写真1

 

角ができ多角形のような形になった赤血球の写真

写真2

 

円形の赤血球が重なりつつ連なり、芋虫のような列になった塊状態のもの(レンゼン形成)がいくつもできている写真

写真3

 

赤血球というのは一番糖にさらされていて糖化されやすい物質ですね。

その赤血球の状態を生きたままこの顕微鏡で見ると、これが健康な人の赤血球(写真1)。一つ一つがバラバラになっていて膜が割合薄く、きれいに流れていく。ところが不健康になってくると金平糖状になったりドロドロになったり塊になったりします。(写真2)。連銭形成といってつながっている(写真3)。また蜂の巣状になったりします。血栓を作ったりしてしまい、こうなってしまうと糖化と酸化が時を経て、糖尿病や動脈硬化の症状を作り、心筋梗塞、脳梗塞を起こしたり、癌などを作ります。

そうなる前にこの赤血球をよく見て、赤血球の状態を良くすることができ、糖化を予防することができるのです。

 

 

橋本:こういう風にならないためにはどのような方法があるでしょうか。

 

 

写真3のものが更に纏まって、大きな塊になっている写真

写真4

 

永田:この写真(写真4)は塊状になっていますね、この糖化した赤血球を元に戻す必要があります。その意外な方法の一つとして温熱があります。

こちらの写真(写真5)を見てください。温熱療法といえば、例えばお灸がそうですね。この例ではたった10分間でかなり赤血球のくっつきが減っています。(写真5、写真左から➡右へ)

 

「灸による赤血球の変化」の図。左に、健康な赤血球と糖化した赤血球(小規模な塊)が混在している写真。そこにお灸を10分する過程が入る。右側に、糖化が改善し、塊だった赤血球が若干バラバラな状態に戻っている写真。下部にコメント「糖化した赤血球でも治療の可能性は十分にある!」

写真5

 

他にもドロドロの塊状になっていた例があります。この患者さんは40代ですが麻痺症状が出て慌てて病院に行ったら脳梗塞でした。ドロドロだったところ、お灸を続けているときれいになってきて、ついに1ヶ月半できれいになりました。

 

 

橋本:この状態からこれだけきれいになったなんて凄いですね。
 

 

永田:温熱の力というのが西洋医学の中ではあまり認められていない。けれど人間は昔から治療に使っていたわけです。

 

 

 


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