AIの手によらない読書感想文 | 無駄話。

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鬱病・適応障害持ちが書く与太話です。「下劣な党派心」による「あら探し」が多いので、合わない方はご遠慮願います。

 どうやら紙媒体は絶版らしい拳骨拓史なる者の「「親日派」朝鮮人 消された歴史」なる本を、いついつに配達されますと注文したヨドバからのメールが着たのに配達されないと思ったら郵便受けに投函したというメールが着ていたので見に行ったら、その通りだった。

 改めてこの本を読み返してみて色々と出典を書いている個所と書いていない個所があり、金東煥の詩は拳骨拓史が種本にしている林鍾国の「親日派」の訳文を使っているのに出典を書いていない。「親日文学論」の注釈(多分、邦訳者の大村益夫がつけたもの)を読めば分かるように毎日新報に掲載された詩で大村益夫は中国文学者から朝鮮文学者になった人なので原典にあたっている。どうせ「親日文学論」は読んでいないにしろ、拳骨拓史は出典を書けってんだ。あなた、大村益夫のように朝鮮語から訳せるの?拳骨拓史は工藤美代子・加藤康男夫妻みたいに「さらにテロリストが多く国内潜伏し、震災の前年にも田中義一陸軍大将が朝鮮人テロリストに爆弾を投じられるなどしており、朝鮮人への不信感が高まっていた」と書くが年度はいいとしても呉成崙は上海で田中義一を狙撃したんでしょう?どうやら拳骨拓史は抗日聯軍に参加していた呉成崙が昭和16年に日満軍へ帰順した事も、それ以前に呉成崙の存在自体を知らないようだ。彼の経歴からして「テロリスト」の「不逞鮮人」から「親日派」になった「好例」だと書き立てるだろうに。スターリン主義者から反共主義者になったマルガレーテ・ブーバー-ノイマンへの偏見が絡むかどうかは知らないが、ソ連で粛清されて生きていないハインツ・ノイマンが1938年に上海でエドガー・スノーを訪ねたと憎々しげな文章でオカルトを記したニム・ウェールズの「アリランの歌」のような手頃に手に入る本に書かれているのに。拳骨拓史は「不信感が高まったからとはいえ、朝鮮人を虐殺しても良いということにはならないが、当時の国民に朝鮮人へのぬぐい難い恐怖と怒りが高まっていたということを論究せねば、関東大震災の真実を語ることはできないだろう」と書き飛ばす割には当時の新聞報道を否定しているし暗に虐殺があった事は認めているようだ。

 拳骨拓史氏は陸士出身の韓国軍人についてオウム返しに繰り返す事以上は知らないにしても洪思翊を書いた時の種本である山本七平の「洪思翊中将の処刑」に引用されている李鍾賛中将(帝国陸軍時代は少佐)の「明治の日本人は国士を遇する道を知っていた。また情において忍びずという言葉を知っていた。日本人が道義的に堕落したのは昭和期に入ってからだ。だから当時の日本の軍人がやったことが今の日本人にはわからないのだ」という言葉が持つ意味など理解不可能で、李鍾賛は李夏栄の孫だと「親日派」で言挙げしている林鍾国も似たようなものだろう。何しろ「爵位の相続を辞退して話題となったが、父親が死亡した一九四五年四月二十四日は、日本の敗戦が軍部内では公の秘密ではなかったと思う」なので彼が作成した人名カードには李鍾賛がニューギニア戦線にいた事は落ちているようだ。林鍾国は裕福な地主の息子の本人が「親日圏」に当てはまるのに張澤相国務総理を「親日圏」の人物だと罵倒しているが娘は南労党員で入北したので「親共圏」なのか?