千葉大学(全問題) | 2010年大学入試数学57弾
※注
ヒントを見ないでこの大学の入試を解きたい人は、
解き終わってから見てください。ネタバレがあります。
大学入試シリーズ第57弾。
国公立シリーズ、32弾。
千葉大学(全問題)です。
問題の難易度(易A←→E難)と一緒に、
典型パターンのレベルを3段階(基本Lv.1←→高度Lv.3)で書いておきます。
また、☆は、「解くとしたらこれがいい」というオススメ問題です。
難易度の指標は、こんな感じです。
D・・・難関大学でも難しい部類の問題。
E・・・超高校級の難問。試験場では即捨てOKの問題。
また、解答までの目標時間を、
問題ごとに書きます。
※目標時間=解き方を含め、きちんと完答するまでの
標準的な時間です。
したがって、
目標時間を全部足すと、試験の制限時間を越える
ことも、当然ありえます。
同時に、その時間の2倍考えてもまったく手がつかない場合は、
ヒントや答えをみるといい という目安にしてください。
千葉大学 数学
本大学は志望学科により指定された問題を解きます。
かなり幅広いため、今回は合格ライン、試験時間については控えさせていただきます。
☆第1問・・・整数(B、20分、Lv.2)
三角形の辺の長さに整数を絡めた問題。
素数の扱い方がポイントです。素数は、1とその数の2つだけを約数にもちますから、
素数p=異なる2数の積 と書き表されれば、それは1とp しかありません。
第2問・・・確率(B、20分、Lv.2)
正六角形の頂点と三角形について。
面積の種類は3種類しかありませんから、各場合を調べて終わりです。
(1)は余事象ですね。
(2)以降は対称性をうまく使いましょう。
i,j,kがすべて異なるのであればi<j<k としてあとで6倍すればいいです。
計算はうまくサボりましょう。
☆第3問・・・三角比(B、20分、Lv.2)
各辺におろした垂線の長さから三角形を決定せよ、という問題。
垂線の長さが絡む問題では、面積を媒介にすると見えてきます。
そのほか、内接円の半径など、面積を媒介にすると見えてくるものはたくさんあります。
平面図形の場合は2次元なので、面積が有効です。
空間図形の場合は体積ですね。
第4問・・・2次関数(B、20分、Lv.2)
絶対値付き、定数入りの2次関数の最小値を求める問題。
定数を入れて絶対値をつけただけで問題が難しくなります。便利な題材ですが、
本問は絶対値をはずすのは簡単なので、そこまで難しくありません。
軸の位置で丁寧に場合わけしましょう。
☆第5問・・・積分、整数(C、35分、Lv.2)
放物線と直線で囲まれた部分の格子点の数に関する問題。
(1)はすぐに出来るでしょうが、(2)はなかなかの難問です。
いくつか試してみると、1個、3個、3個、1個 なんだろうなぁと気づくでしょうが、
面積の条件からaが奇数であること、
さらに放物線と直線の交点が両方とも整数であること
に気づかないとお手上げ状態でしょう。
☆第6問・・・確率(C、35分、Lv.2)
さいころの目に従って数直線上を動く問題。
(1)は計算式ですぐ出ますが、(2)、(3)は泥臭く書き出すのが一番よかったかもしれません。
要するに、
最終的には正に進む数と負に進む数が等しくなるが、途中で等しくなるようなことはない
ということです。
なので、、、
最初に正に進むのであれば、最終回までは(正に進む回数)>(負に進む回数)
最初に負に進むのであれば、最終回までは(負に進む回数)>(正に進む回数)
です。このような場合、以下のような書き方が非常に有効です。
http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/10/ch1.html
数学解答p12~p13 を見てください。
この書き方は特殊なものではありませんので、ぜひ身につけておきましょう。
第7問・・・平面ベクトル(B、20分、Lv.1)
基本的な平面ベクトルの問題。素直にAを基点としたベクトルに書き換えて
b、cベクトルで表せば解ける問題です。
ベクトルの計算はどうしても分数が絡むので、計算は慎重に行いましょう。
なお、(1)の結果は非常に興味深いですね。
☆第8問・・・積分(B、25分、Lv.1)
積分方程式としては簡単な問題ですが、問題自体は目新しい。
まずは積分方程式をとっとと解いてしまい、c=πb をだしておきます。
最初の条件は三角関数の合成をつかって√(a^2+b^2)+πb=2π とできますが、
どうにもいじくりにくい式です。
こういうときは、このままほっといて求めるべき式を計算して見ましょう。
すると、a^2+b^2 が出てくるので、条件式を使うとbだけの式にできます。
最初みたときに式変形しにくい場合は、むやみにいじらずに放っておきましょう。
あとでどのように式変形すればいいか見えてくるときもあります。
なお、この問題で積分の計算量が多いと感じた方は、少し訓練が必要です。
-π~π までの積分なので1周期分ですから、
cosx、sinx、cos2x・・・・など は積分すると0になります。
なので、実質ほとんど計算するところはないはずです。
積分計算はうまくサボりましょう。なお、三角関数の積分はもっともよく出る計算ですから、
反復練習も多くやっておいてもいいでしょう。
☆第9問・・・三角関数(B、25分、Lv.1)
与えられた条件から定数を求める問題。
tan∠POQ と書かれているので、あきらかに角度で勝負ですね。
tan∠POQは直接もとめにくいので、
tanが求めやすい2角の差で表して、加法定理を用いましょう。
この手の手法はよく使われ、今年の京都大学でも類題が出ています。(京都大学理系甲3、乙2)
また、前問同様、条件式はいじりにくいですが、面積から出る条件式と、
tan∠POQの式を出すと同じ形のq^2-ap^2 が見えてきます。
なお、相加相乗を用いて最大値、最小値を出す場合は、等号成立を確認しなければいけません。
等号が成立しないと、そこは最大、最小になりませんので。
☆第10問・・・整数(CD、35分、Lv.2)
(1)はなんとかなるでしょうが、(2)はかなり難しかったのではないでしょうか。
(2)はまずnの偶奇で場合わけすること自体が難しいですが、
nが奇数の場合は3=4-1とみて 4で割った余りに着目すると満たすものがないことを証明しますが、
かなり難しかったと思います。
平方数や累乗が出てきた場合は、3や4、あるいは5で割った余りに着目することも
手法の1つとして持っておきましょう。
☆第11問・・・一般関数(C、30分、Lv.3)
非常に高度な概念を題材にした問題で、高校数学では普段証明なしに用いることです。
条件(P)が、極値であることの厳密な必要条件です。これを用いて、
「極値をとるときの微分係数の値は、(存在するならば)0である」ことを示す問題です。
(1)の証明も難しいですし、(1)の流れで行くと (2)も0<a≦1を見落としそうで、
なかなか難しかったでしょう、
(3)は(2)できちんと考えらていればなんとなく正しくなさそうであると予想がつくと思います。
逆に(2)をずさんに考えていると(3)も間違えそうですね。
なお、(3)の反例として、どこかで関数がジャンプするものを考えると見つけやすいです。
y=[x] とかは階段状になっており、これも反例です。
対策
文系学部の選択問題である前半は標準レベルですが、
理系の問題である後半は標準~応用といったところ。
文系はB~BCレベルの問題(青チャート全部+数研の入試問題集(文系))
理系はB~Cレベルの問題(青チャート全部+数研の入試問題集(理系)+α)
の対策が必要です。
今年は理系で数IIICの出題が少なかったですが、IIICは毎年それなりの難易度のものが出ますから、
チャート式などできちんと対策しておきましょう。
以上です。今回で、2010年大学入試数学シリーズは終わりです。
大学入試シリーズを読んでくださった皆様、ありがとうございます(^O^)
「この大学の批評を書いてくれ!!」という要望がありましたら、お受けいたします。
なお、予備校のHPなどから問題が入手できる、日本の大学に限ります。
4月からは、高校数学の超基礎から難関大を目指す方まで、さまざまなレベルの内容
を書いていきたいと思います。
数学が得意な方も、数学が苦手な方も、習いたての方も、一通り学習し終えた方も
読んで楽しくなるような内容でお届け出来ればと思っております^^
なお、私の友人も数学に関するブログを書いております。
入試数学を独自の観点から評価しており、非常に面白いです。
http://katsuhitoblog.blog129.fc2.com/