「ショーカイしてもいい?」って言われたって

ショーカイして何すんの?


顔見知りになって、友達になるの?


漫画やドラマで見てたから、

ただ友達になるためだけに「ショーカイ」なんてしないってことは知っていた。


でも、こんな田舎のたった15歳の私らが「ショーカイ」なんて言って、どうすんの…。

場違いみたいな アホみたいな 照れくささが体に染みる。


その渉の友達とやらが、少なくとも私に好意をもってくれてることくらい、

私にだってわかった。


「わかった。ショーカイされても、いいよ!」

照れた顔がバレないように、渉にそう伝えた。


渉はなんだか任務を果たしたように誇らしげに

「じゃ、そいつに伝えておく!」と言った。



それから数日後、私は、
部活のあとの土曜午後に
近所の公園で渉の友達に会った。

大樹っていう名前はその時初めて聞いた。


目が二重で、パッチリしてて、

Tシャツに日焼けした真っ黒の腕が男らしかった。


 
大樹は私や渉とは違う中学校の生徒だった。

渉とは野球のクラブで知り合って、ずっと仲が良いらしい。

渉と私はクラスでもけっこうよく話す者同士だったけど、

大樹っていう名前は聞いたことがなかった。


気が合ってよく知っているつもりでも、

知らなかったことってたくさんあるんだな、と思った。


突然会った私達は さすがに何を話していいかもわからず
夕方の公園のベンチに二人で座って、

今日の部活のことや渉のことを少しだけ話した。

共通の話題なんて渉のことくらいしかなかった。 
 


少しの沈黙の後、大樹はいきなり「付き合ってください」と言ってきた。
「この前部活で見かけた時から好きになってた。」と。
 

さすがに、びっくりしたよ。

初対面だけど…

「ショーカイ」って、確かにそーゆうもんなのかもしれないけど。

でも、会って初日で、こんなこと言われるとは思わない。

 
ちょっと意味がわからない。


「それから渉からよく話を聞くようになって、ずっと会ってみたかった。

 純粋な子って聞いてた。

 今日会ってみて、やっぱり付き合いたいって思った。」


ええええええええええ


こんな時、漫画ではなんて言ってたっけ。

ドラマでは、なんて言ってたっけ。


いやだ、照れるな、焦るな!

うろたえたくない。こんなことで。


とりあえず私は、 
「考えさせて…」とだけ伝え、
すぐにバイバイして家に帰った。


 
面と向かって告白されると、
その場に長くいられないほど顔がほてって恥ずかしい。
でも、嫌じゃなかった。


家までの道、息切らして走った。

まだ15歳の私達。
この恋愛が人生を変えるだとか、
一生続いていくだとか、
そんなこと、リアルには考えられない。
 
ただ学校行って部活して、

漫画みてドラマみて友達と遊んで、
それが普通の毎日だっていうことくらいしか、知らない。


漫画やドラマみたいなドキドキは

身近にそうそう起きるはずなんてないって

少しずつわかってきた年頃。
 
隣のクラスの渉に
「お前のことを好きなヤツがいるからショーカイしてもいい?」と軽く言われた時、 
この恋愛が人生をかえるなんて、私は想像もしなかった。