気がつけば10月も終わり。

昨年は楽しみにしていたDr.コトー劇場版もみることができず、やらなければならない事は山積みで

ついでにコロナウイルスにやられ散々な毎日でした。

コロナはパキロビッドって、でかい錠剤をいただき服用したせいか、早く良くなりました。

痒くも痛くもない全身に出た発疹。

タワシが喉に引っかかっているような

風邪とは少し違う喉の不快感。

ワクチン接種後10日目の出来事でした。

それでも妹の所にはクリスマスプレゼントは準備し、妹とは窓ガラス越しにご挨拶をしたのですが

プレゼントのすみっこぐらしのスケーターとメルセデスベンツのおもちゃを見た子供達。

すっごい笑顔でした。



案外高くてビックリしたけど。

時速3キロ程で走行するそうなので

ご近所の迷惑にならないように楽しんでほしいです。

さて、時を振り返れば昭和の高度経済成長期。

我が家にも一台のペダルつき自動車が来た事があります。

母の甥さんがクリスマスプレゼントに買ってくれたのでした。

真っ赤なその車は足でキコキコ踏むと進んで行くという、画期的なおもちゃ。

おまけに電池や電気のいらないecoカー。

名前は私がつけました、キコキコ。

ハンドルを握りしめ、家の中を乗り回し

押し入れを突き破り薪ストーブの横をスレスレに爆走。

あの爽快感は忘れることはできません。

ある日、妹がキコキコに乗りたいと言うので

母が運転席に座らせました。

キコキコと動く車に乗って満面の笑み。

あたいの方が安全運転だと言わんばかりのハンドルさばき。

刈り上げた後頭部が縁側の横をキコキコと走ります。

小さな窓の向こうになぜいるんだろう。

あんな狭い所になぜガーン

その時、何を思ったか急ハンドルをきり

ちょっと高めの縁側から、そのまま垂直に落下してしまいました。

ちょうど落下した場所には父のカワサキのバイクがあり、それを巻き込み事故発生。

泣き叫ぶ妹、慌てる母。

壊れたキコキコを黙って見つめる私。

帰宅して倒れたバイクを黙って起こしタオルで汚れを拭く父。

妹は万能薬と信じられていた赤チンを塗りたくられ泣きながら寝てしまいました。


その後、キコキコは倉庫で眠る事となりました。

母は「買って来る時は当たり障りのないものをお願いね、甥さん」

とニコッと笑って破けた妹の服を直していました。

それからは甥さんからの手土産はたくさんのサンヨーの果物缶詰とカルピスで、それはそれで楽しめたものでした。

家の中で乗り回さないでも何故外を乗らないか?

当時は今みたいに舗装なんてしてませんからね。

犬でも走りながら転ぶようなデコボコ道。

おまけに大雪も降るし社宅前は川。

散歩しながら蛇を飛び越え

電柱には集めてもいないのに

たくさんのカブトムシが来て

誰が飼っているかわからない犬に追いかけられ

安全に遊べるとは思えない環境でした。


その甥さんですが、県外で何か特殊な仕事をしていたそうで帰省の際は色々なものを買ってきてくれました。

ある日、妹と散歩から帰ったら外車が停まっていました。

妹は電柱に隠れて

「姉ちゃん、ヤクザがきてるんじゃない?」

と怯えています。


(写真はネットからお借りしました)

私も父が何かやらかしたと思い、玄関の外で困っていたら

ワイワイ笑い声が聞こえるじゃないですか。

取り引きがうまくいったのか?

いや、何の取り引き?母は捨てられる以外取り引きされるはずもない。

子供の私達に用事?

そう思いながら玄関にいると

「おーっ!おかえり!早く上がれ!」

よく見ると甥さんでした。

お土産だぞ!と言って渡された箱はキコキコのような物でもなく

かわいいハンドバッグでもなく富有柿でした。

当たり障りのないもの。

これこそが我が家には大切だったのです。

一体何のどんな仕事をしていたのかいまだに詳しくは知りませんが

少しお金持ちの匂いがしていたと記憶しています。

私達姉妹が詳しい職業も知らないまま酒の飲み過ぎで、何年か前に、あばよになってしまいました。

社宅では、色々な思い出があります。

ゲームも携帯電話もないあの時代、猿がシンバルを叩いたりするだけのおもちゃ、人間に向かって飛んでいく父親作成のドローンのような竹とんぼ。

店が近くになかったので表紙が外れてしまうほど読んだ絵本。

毎日同じお菓子、かっぱえびせん。

母の編み機の音。

猟銃を手入れする父の姿。

祖母のホラーな作り話に怯えた夜。

クリスマスケーキはバタークリーム。

お正月は親戚揃って餅をつき

歯がグラグラ動きだしたら、糸で引っかけてピーンとやられる。

おばちゃん達はお揃いにしたかのようなパンチのきいた髪型で、制服みたいな白い割烹着。

おじさん達は集まれば社宅広場で花札、将棋、囲碁。

ブルーシートに転がる酒瓶。変な歌と踊り。

今、昭和の思い出を語る当時の近所の人達は

田舎では暮らせないと町に出たり老人ホームに行ったりしてほとんどいなくなったそうです。

母は年末に、もう寿命ですね、老衰ですね、あと2週間ですね、と言われ妹と在宅で介護を始めました。

最後は大きなテレビに買い替えて楽しんでもらおう、あれもこれもとお金を使い、あと2週間・・・今10月ですが。

妹は大したことないと思ったのか最近来ることはありません。

食べるしテレビも新聞も見るし、折り紙もするし、めちゃくちゃ元気なんですよね。

U-NEXTで渡鬼みて大笑いしてるし。

まだまだ元気でいてくれるでしょう。

そんな母ですが今日、日付が変わった丑三つ時にトイレに行こうと部屋を覗いたら

廊下をじっと見つめている目だけが視界に入り

私は廊下で漏らしそうになりました。

妹なら叫んでいたと思います。

あちこち外食や旅行に行けなくなりましたが

なんとか楽しくやってますニコニコ

今日はフライドポテトを買ってこいと言うので

仕事の帰りはマクドナルドに寄ってこようと思います。