2009/0705

うちでは、いつもキンチョールを手元に置いていました。
特にハエが許せないんです。
子供の頃の、ある日の夕飯時
母「今夜は、お刺身ですよ」
父「ん」
妹「やったね~」
私「焼いて…下さい。」
父「刺身を焼くのか、アホか」
私「だって気持ち悪いもん」
焼いてもらって、さあ食べようとしたら
ハエが一匹やってきました。
キンチョールとハエタタキがセットで
父の元にあります。
いきなり立ち上がった父は
ハエタタキを振り回し、仕留めようとしますが
捕まりません。
(銃は上手なのに、ハエタタキの下手なことったら)
いなくなったから、改めて
いただきますです。
しばらくして、又々ハエが来ました。
運良く?父の頭にとまったので
母がハエタタキで叩いて
叩いたはずだけど?逃げてます。
もう、見てられないよ。
私はキンチョールを手にしました。
よっし!妹の頭だ!
シャーッシャーッ!
「馬鹿か!」
「いやーん」
「お姉ちゃん!」
誰が、どの声?
妹の頭はキンチョールで濡れ
退治されたハエは妹の
お刺身の上に…。
「姉ちゃんのあげるから、ごめんね」
「たたきより焼いた刺身は~
刺身やなくて焼き魚やろ!
あたいは刺身が食べたかった!
姉ちゃんの馬鹿!」
そう言って私の魚を取り上げると
外に走って行き、コロの餌入れに入れて
「悔しかったら取りに来てみ」
「くっそー、私の魚!」
私も妹を追いかけました。
母「やめなさい!」
妹「キンチョールの呪いやぞ!
あたいの刺身返せ!」
父「女の子は静かに飯を食うもんだ。
ほら、お父さんのをやるから」
妹「嫌で!汚い!」
父「なにおぅ!せっかくお父さんが…」
母「もう、やめなさい。
うるさいよ!」
結局母が、卵焼きを作ったのでしたが
妹に刺身の恨みをいつまでも言われ
しばらく、ろくに口もきいてくれませんでした。
それから、夏休みに
「ボーナスもらったから食べに行くぞ」
と言うので、ウキウキ気分で
酔い止めを飲んだフリして
出かけました。
途中気分悪くて、何度も車を止めてもらい
ついに
「向こうまで歩け」
と歩かされました。
私が酔い止めを飲まず捨てていたのを知って
次からは目の前で飲まされました。
まあ、それはどうでもいいけど
家族でよく行った店に着きました。
妹はカツカレー
私はチキンソテーです。
四人でテーブルを囲み、いただきますです~。
「お母さん、あたい姉ちゃんのチキン欲しい」
えっ?うそ…。
母「お姉ちゃん、少しわけてあげない?」
私「はい…」
お皿を渡したら全部取られました。
私のお皿にはキャベツときゅうり
トマトにレモン。そしてライス。
父「おい、おねじ、泣くのか。
こりゃあ泣くぞ
泣くな、笑え!こーんな顔で」
変な顔する父を見て
涙いっぱいためて笑ったら
もう一つ注文して
ライスは父が食べてくれました。
「キンチョールの呪いやぞ」
妹がまだ言ってました。
そのうち、チキンの呪いかけてやる!
帰り道、何でも買ってやると言うので
キャンディ・キャンディのオルゴールを買ってもらいました。
今思い出すと…
馬鹿な姉妹だったと思います。
でも楽しい思い出でした。
いいえ、今でも馬鹿です。
これからは、しっかりと
楽しい事ばっかり思い出して
笑って生きていきたいです。
お父さんが、最後に会った時
珍しく私と別れ際
笑って手を振ってくれたように
私はいつまでも笑っているからね。
大丈夫、大丈夫。
ちゃんとやってくから。