ユン・ドンノの食べ物の話69『あわび』 | 韓国ニュース翻訳

韓国ニュース翻訳

毎日韓国のニュースをアットランダムに翻訳してお届けします。

ソース:daumニュース

http://media.daum.net/culture/view.html?cateid=100027&newsid=20110816031924945&p=donga


[東亜日報]


歴史的に有名な山海珍味の中には本当に美味しい食べ物もあるが、

素材が貴重なためうわさだけがそれっぽくあるだけで、

今見てみると猟奇的な食べ物も少なくない。


また、名前だけが知られていいるが、実際には存在しない伝説の中だけの料理もある。


本当の山海珍味ならば実際に食べることのできる食べ物でなくてはならないが、

17世紀始め明の『五雜俎』という文献では『あわび』をその中のひとつとして挙げた。


『五雜俎』では、竜の肝臓と鳳凰の骨髄、ヒョウのへその緒と麒麟のジャーキーは、

世の中で手に入れることの出来ない伝説の料理であり、

オラウータンの唇とむじな焼き、象の鼻やラクダなどは、

世の中に存在するが実際に手に入れるのは困難だとされている。


そして、現世の金持ちが食べることのできる山海珍味としては

南方の牡蠣、北方の熊の手、東海のあわび焼き、西地域の馬の乳があると書かれている。


美味しい料理として、東海のあわびが挙げられているが、

中国から見たときの東海なので、すなわち韓国の西海を含む近海でとれるあわびのことだ。


宋の時代の詩人蘇東坡があわびをテーマに『河豚邊』という詩を残してるが、

この中であわびの名産地として渤海湾の蓬莱をあげた。


韓国の文献でも韓国近海でとれるあわびに対する評価がある。

朝鮮後期の実学者ソ・ユグは、『蘭湖漁牧志』の中で、東西南海全てにあわびはあるが、

蔚山と東莱、湖南地方と済州でとれるあわびが品質の良い「珍品」だと絶賛した。


このように、朝鮮時代の学者達はわが国のあわびへの自負が強かったとみえる。

17世紀初めの詩人イ・ウンヒは、あわびについての詩の中で、

色々な魚類や貝類の中でもわが国のあわびが一番良いと詠んでいる。


”海女達は海の中にもぐるよ/串で岩の間を刺してしっかりくっついたあわびをはがし採るよ/

初めは白い玉のように見えるがよく見ると紅いカボチャの灯り/魚介類が数万種類あるけど

一番は我ら東方のあわび”


あわびは貴重で上質な海産物なので、

刺身だけではなく多様な料理法が発達した。


『增補山林經濟』の中では刺身を酢コチュジャンにつけて食べるという記述とともに、

サイコロ状に切ってあわびの殻の中で茹でたり焼いたりするという記録もあるので、

現代のあわびもまたサザエ焼きなど違いない。


また、あわびの粉を薬菓のようにして食べると、

あわびの味は変わらないがやわらかいこと豆腐のようで、

老人たちが食べやすいとある。


また、『進宴儀軌』のような宮中宴会の卓上にもあわび煮、あわび和えなど

多彩な料理を見ることが出来る。


あわびを山海珍味と考えていたということは、

探す人が多く、供給が需要に追いつかなかったようだ。


それほど収奪もひどく、あわびを採る海女達が官使の横暴に苦しまなければならなかった。


19世紀初めの文人イ・ハッキュが『洛下生集』で

あわびを採る海女達という題目で詩をひとつ残したが、

あわび収奪の現状が生々しく描写されている。


”官使が駆け寄ってきてうるさくまといつくのだが/新鮮でふっくらと太ったあわびを刺身で---

/急いで官庁の台所にもって行き/黄金に輝くあわびは串に刺され

/ソウル官吏に献上したら/山盛りにつまれた牡蠣の殻だけ/海女の空の器を満たすだけ”


”実在する山海珍味”であるあわび、その名産地のうちのひとつが渤海湾にあるが、

最近の汚染事故で影響を受けないか心配だ。