4年ぐらい前に、NHKテレビで「ピアノの森」というアニメの連続ドラマが放送されていたことがあった。なにげなしに、夕食時に、それほどの関心もなく、私はそのアニメ番組を見ていた。まるっきりピアノとは縁のない不遇な育ち方をした一ノ瀬カイ(海)という少年が、一人ぼっちで遊んでいたら、近くの森の中で、一台のピアノに遭遇し、そのピアノと遊ぶうちに、いつの間にか非凡なピアノ演奏の才能を育んでいた。やがて、その才能は、一人の師匠に出会って、さらに開花していき、ライバルと共に国際コンクールで優勝を争うところまで行くというストーリーである。


私は、クラシック音楽や楽器演奏には知識がなく疎かったが、学生時代には、授業が終わってから、よくクラシック音楽(バッハなど)が鳴っている珈琲店で時を過ごしていた。

だから、珈琲店のBGMには、ポピュラー音楽よりはどちらかといえばクラシック音楽の方が、居心地が良かった。

だから、夕食時のテレビ番組で、「ピアノの森」はちょっとした心のリラクゼーションであった。

ただ、たまたま初回から見ていたので、いつの間にか、ハマってしまい、最終回まで見続けた。


そのとき、私の頭には、クラシックギターのクの字もなかったし、もちろんピアノのピの字もない。

それら楽器演奏と自分がだぶってイメージすることもない。

まだ、頭の中は、その頃の趣味で時折、県営プールでクロールや平泳ぎを泳いでいる自分の姿ぐらいしかなかったのだ。


ただ、心の奥底の暗い無意識の世界では、クラシカルな音楽が鳴り響く森の中で、誰かが、あるいは妖精達が叫んでいたのだろう。「こっちには、過去の君の歩んだ人生で、まだ知らない素晴らしい魅力的な世界があるよ😊」と。「さぁ、おいで、さぁ、こっちへ来て見て😊」「やってごらん❗️」と。

それから、1年後、クラシック音楽の中のクラシックギターの世界(The Part of Your  World)に、私自身?が入っていくなどとは、露(つゆ)ほども、夢にも思わなかったのだ。