- 成人病の真実 (文春文庫)/近藤 誠
18日の朝日新聞夕刊の「やさしい医学リポート」というコラム記事に「予防で医療費は減るかという表題のレポートが載りました。
これはアメリカの昨年の大統領選挙では、「病気の予防対策の強化で医療費を削減する」という主張が多く見られたが、それを批判する医療経済学の立場から論説がニューイングランド医学誌に2008年2月に記載されていたというものです。
その論説では、文献調査に基づき、検診や予防接種のなど279の予防行為と1221の治療行為について費用対効果をまとめました。
その結果、医療費の減少になるのは、予防でも治療でも全体の2割に過ぎなかったということです。
その調査方法がよくわからないので、なんともいえないのですが、予防医学そのものも、西洋医学的な考えが元になっているようです。
今回の新型インフルエンザでもその予防の一環として「ワクチン」が脚光を浴びました。昨年までは、ワクチン不足が噂され、ある種『取り合い』になっていましたが、今年になってからは一転「だぶついている」と報道されています。
また、今回のWHOによるパンデミック宣言は、ワクチンや抗インフルエンザ薬を売らんがために、製薬会社と仕組んでいたのではないか?との疑惑がもたれています。
また、昨年、がんを予防する初めてのワクチン「子宮頚がんワクチン」が発売されました。
ガンにワクチンというのは、不思議な気がしますが、子宮頚がんの99%はヒト・パピローマ・ウイルス(HPV)の感染が原因になるからで、そのウイルスに感染しなければ子宮頚がんになる確率が減る、というのがそのワクチンの考え方です。
約8割の女性が障害に一度はHPVへに感染するといわれています。しかしその大半は自分の免疫でウイルスが消滅します。ウイルスに感染した約10人に一人が「感染した状態が続き、子宮頸部の細胞ががんになる可能性のある「前がん状態(異形成)」になりますが、これも大半は、自然消滅しますが、約10人に一人ががんになります。
新聞記事なので、HPV感染者の約1割が「前がん状態」になるのに、大半は免疫で消滅するというのが、ちょっとわからないところですが、もしワクチンを打たなければ、つまり現状では、女性の約8割がHPVに感染して、その1割が「前がん状態」になり、そのまた1割が子宮頚がんになると考えられています。
つまり、子宮頚がんは、女性だけの病気ですが、確率的にいえば、0.8%の確率で発症することになります。
別な数字を挙げますと、日本では毎年一万人以上の人が子宮頚がんになり、約3500人の方がお亡くなりになります。
それでは、昨年発売になったその「ワクチン」では、子宮頚がんになる確率がどれだけ減らせるのでしょうか。
HPVにもインフルエンザのようにいくつも種類があって、今回のワクチンはそのうちの7割のHPVに効果のあるワクチンだそうで、となると、「前がん状態」になるのが、8%だったものが、5.6%にできます。しかし、7割のHPVに対応してても、100%の効果とはいきません。もっとも効果があるのは、10歳から15歳までに接種するのですが、それでも効果は約70%です。40代ぐらいまでなら、30-40%の効果が期待できますが、それ以後は期待薄とのことです。
その数値を入れ込むと、10歳から15歳の時にワクチン接種すると、5.6%x70%x10%は0.392%の確率に変わります。
わかりやすくいえば、ワクチンを女性が10歳から15歳の間に全員が接種するとその年代の子宮頚がんになる確率は、ワクチンを接種しなかった場合と比べ半分に減ります。1000人に8人から1000人に4人まで確率が減るのです。
何を言いたかったかと言えば、インフルエンザも含めて、ワクチン接種をもって、予防医学とするなら、そのことで、医療費が減ることはないだろうということです。
今回の子宮頚がんワクチンのお値段は3回接種しますので、約四万から六万だそうです。
もし、このワクチンをもっとも効果のある10歳から15歳の女子約三百万人に接種すれば、一兆二千万から一兆八千万円掛ります。
つまり、西洋医学が考える予防医学とはニューイングランド医学誌の論説のように金の掛るものなのです。
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