私が勤務したフリースクールは、学校の延長線上のように勉強に力を入れる、といった方針ではありませんでした。

便宜上は午前中に勉強の時間を設けてはいますが、個人差はあれど実質的にはほぼ機能していませんでした。皆、勉強よりは遊びたいのです。

「学校」というよりは「居場所」としての役割の方が色濃いフリースクールでした。
家庭環境や学校での人間関係に疲れ、心の逃げ場を求める子達にはとても良い環境だと思います。

しかしフリースクールの生徒達が学校の勉強からはどんどん遠ざかり、無邪気に遊ぶのと同時進行で、学校では受験に向けたカウントダウンは容赦なく始まっています。

学校に戻る気などまったくないと言う子達ですら、心のどこかでは自分が置き去りにされる感覚はあるように見受けられました。

「今度こそ普通の学校生活を送りたい」
とある受験生の生徒が不意に口にした言葉です。
彼女は多少の学習障害が見受けられ、学校での通常の学習はかなりの負担になるだろうな、というタイプでした。さらに中学生活のほとんどをフリースクールで過ごしました。

そんな彼女から出たこの発言を軽く受け流す事はできませんでした。

フリースクールの先生達の間でも、生徒を巡って意見が割れる事はしょっちゅうです。
無理に勉強させずに徹底してリラックスさせたい派と、そろそろ一般的な学校に適応させる訓練が必要じゃないかと主張する派。

どちらがよいのか。
そのどちらも正解ではないのかもしれない。
いくら考えても結局答えはでませんでした。