たっぷり泳いだ頃に、海がオレンジ色に染まり始めました。
2人が家に帰る時間の合図です。
サンゴ礁まで戻って、2人はそれぞれ、幻の鳥、について調べてくると
約束をして、お互いの家に帰りました。
コットは、鮭くんに幻の鳥、の話をされてから、どうしても気になることが
ありました。それは、彼女がたまに見る夢の内容です。
彼女は小さいころから、鮭くんと一緒に遠く遠くまで泳いで、誰かに会いに行く夢を
たびたび見ているのです。でも、誰か、はいつもわかりませんでした。
いつもその誰かは、海の砂のような色をした光に包まれているのです。
明日、鮭くんにこの話もしてみようかしら、と思っているところに
彼女のおじいさんイルカがやってきました。
「どうした、考え事をしているようじゃな、コット」
「ああ、じいちゃん、あのね、今日鮭くんから、こんな話をされたのよ、、、」
コットは、今日鮭くんから聞いた話、そして度々見る自分の夢の話を
おじいさんに話しました。
「そうかそうか、、、」
とおじいさんはそれきり、しばらく黙りこんでしまったので
コットは、話してはいけないことだったのかと怖くなりました。
そんな彼女を見てか、おじいさんは優しく笑って言いました。
「コット、その鳥はな、ここからずっとずっと遠くの海におってな、
とても小さいのだが、たいそう美しい鳥なんだそうだ。そしてな、
お前みたいに、夢で見たものしか会えないという噂もあるんだよ」
「あら、そしたら、鮭くんは会えないの?」
「鮭くんは、会えないかもなあ、、、でもな、その鳥らしき影は
ちゃんと見えるんだ。じいちゃんたちはな会いに行って、声も聞いたんだ」
ああ、だから鮭くんはおじいちゃんからその話を聞いてきたのね、と
水玉イルカが納得していると、おじいさんはさらにこんなことを話しました。
「コット、お前にはいつか話してやろうと思っていたが、ちょうどいいじゃろう。
実はな、体に水玉を持つイルカは、その幻の鳥と姉妹だという言い伝えが
あるそうなのじゃよ」
「姉妹?言い伝え?」
遥か昔、体に水玉を持つイルカは、当時唯一海に住める幻の鳥と結ばれた。
2人は鳥とイルカそれぞれの子どもをもうけ、しあわせに暮らしていた。
しかし、幻の鳥は、寿命が短く、家族を残して天国へと旅立ってしまう。
それでも3匹で暮らしていたが、あるとき、鳥は海に住めなくなってしまい
それで幻の鳥、と呼ばれている。鳥の姉は、母と妹の水玉イルカを残して
泣く泣く陸へと上がって、一人旅立ってしまう。
鳥とイルカの姉妹はたいへん仲が良かったため、
今もどこかで幻の鳥は、水玉を持つイルカを探して待っている。
「そしてな、そのイルカの末裔がわたしたちなのじゃよ、今までわたしたちの
家系に水玉を持つイルカは生まれてきたが、男だったのじゃ。女の子は
お前が初めてなのじゃよコット。だから、夢にも見たのだろうな」
「なんだが、悲しいお話ね、、、わたし、幻の鳥に会いたいわ」
「そうじゃな、鮭くんのじいちゃんが道は知っているはずだから
2人で行ってきなさい。きっと幻の鳥も喜ぶだろう」