音楽家に認知症が少ないのは何故? | あいはらしげる 『Sky Lounge』

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音楽というなが~~~~~~~~~~~~~~い山道をよちよち歩く、Flutist相原茂の日記。
~フルートのこと、音楽のこと、美味しいワインやごはんのこと、などなど好きなことを気ままに綴っています。~

音楽家で認知症になる人が少ないのは何故か。

今日は、この事を考えてみたいと思います。



科学的エビデンスや統計的データがあるわけではないのですが・・・

一般的に、音楽家に認知症になる人が少ない、音楽をやっていると認知症になりにくい、と言われていますね。


私の師匠のそのまた師匠は、既に80歳半ばですが、毎回数十人が参加する勉強会や発表会で、初めましての学生の顔と名前をすぐにちゃんと覚えるし、さらに、その人の演奏がどこがどうだったか、的確に指摘されています。


楽譜が頭に入っているのもあるのだけど・・・

あの記憶力はどうしたらできるのか。

もう、化け物ですよね!笑(失礼)

人の顔と名前を覚えるのが苦手な私にはとうていできません!!



先日、認知症と音楽について書きましたが、認知症の治療として音楽療法が有効かというと、そうは思っていません。

一時的な改善効果はあると感じでいますが、根本的な治療効果は無いものと思います。


しかし、認知症の予防となると話は別で、音楽、特に器楽は認知症の予防に高い効果があるのでは、と考えています。


そもそも、認知症とは?

認知症には3つの型があります。

①アルツハイマー型認知症

②レビー小体型認知症

③脳血管障害による認知症

です。


このうち、①のアルツハイマー型認知症は、最も多い認知症で、全体の70%がアルツハイマー型と言われています。

②のレビー小体型認知症は、次に多い認知症です。

アルツハイマー型は、ある特異なタンパク質が脳細胞を破壊して発症するもの、レビー小体型も、あるタンパク質により脳の一部のレビー小体が破壊されて発症するものです。


③の脳血管障害型は、その名の通り脳梗塞などで脳の血管詰まったり、脳内に出血をおこすなどして、脳細胞に血液が回らなくなり脳細胞が破壊されて発症する認知症です。

こちらの場合、日頃の予防や検診である程度防ぐことができます。


私が最も多いアルツハイマー型認知症の患者さんと接していて感じることは、同じ仕事を永年に渡り続けてこられてきたり、自宅に籠って人と接することが少なかったり、同じことを同じ人と繰り返している人に多い気がします。

あくまで、「気がする」程度で、エビデンスはありませんので、あしからず。


でも、大抵の人はそうじゃありませんか?

仕事の内容が変わることはあるかもしれませんが、それほど大きく変わるとは思えませんし、変わってもすぐに慣れるものです。



音楽家以外では、政治家にも認知症になる人って非常に少ないですよね?

政治家は、毎日沢山の人と会い、陳情など話を聞き、政策の勉強会をしたり、高級なお店で美味しい物を食べながら意見を言い合ったり(失礼)、政策を考えたりしているからでしょうか。



では、音楽家はどうでしょう。



よく、認知症予防に手指を使うと良いとされ、施設のレクリエーションでは手や足を動かす運動をしていますね?



音楽をやるには、両手の指を別々に動かすだけではなく、耳や目も同時に使います。つまり、脳全体を使わないと演奏はできません。これだけでも脳に良さそうですよね?



音楽を演奏するには・・・


まず楽譜を読んで、頭に入れます。

そして練習では、目で楽譜を見ながら、両手の指を別々に動かし、自分の音を聴く。(時にメトロノームの音も聞く)

これだけで、3つ、4つ、5つのことを同時に行っています。


さらにアンサンブルとなると、

楽譜を見て、両手の指を動かして、自分の音を聞いて、さらに他の楽器の音も聞かなくてはなりません。

楽器の数が多くなればなるほど沢山の音を聞かなくてはなりません。

その中で、自分の音を調整します。

オーケストラや吹奏楽となると、指揮者も見ながら演奏します。

毎回、沢山の人と接しています。

1時間以上集中できる集中力も必要です。



どうですか?

同時にいくつもの事をこなさなくては音楽はできないので、脳は常にフル回転なわけです。


アンサンブルをやると、頭全体が熱くなる感じがするんですよねー。脳が活発に働いている証です。



しかも音楽家は、これを1回の演奏会で何曲もこなします。

月に何回も行う人もいます。下手すりゃほぼ毎日やってる人も。


もちろん、毎回曲も違えば、会場、楽器編成、メンバーも違います。

現場に行って初めて楽譜を渡されて、すぐにリハーサル、演奏本番、なんていうことも普通にあります。



何年も何十年もやってるんだから、そんなの慣れてるでしょ?と思う人もいるかもしれません。

でも、本番は、毎回1回きりです。

同じ本番はありません。


昨日と今日、同じ会場、同じ曲、同じ編成だったとしても、聴衆の人数や天候でも響きが異なります。

聴きに来る人も毎回違います。


つまり、「いつもと同じ」ということがないのです。


よく、高齢者の方は皆口を揃えて、「昔はこうだった」「前はこうじゃなかった」「いつもはこうだから」など言いますが、音楽にはそれらの言葉は存在しないのです。

毎回初めてなので、毎回新しい刺激がある、ということだと思います。


弟子がいてレッスンもしている人も多いですが、レッスンでも弟子の音を聞いて、的確に指摘するので、やはり脳全体を使っています。

時には弟子のプライベートな悩みを聞いて、アドバイスしたりすることも。


もう、脳みそはいつもフル回転ですよ!


脳細胞は、使えば何歳になっても成長するし、使わなければ簡単に衰えます。

いつもと同じ、昔と同じことをしていては、脳細胞は衰える一方なわけです。


実際に、演奏中の音楽家の頭の中を画像診断装置で見てみたいです。きっと脳全体が真っ赤なんだろうな。



音楽は、何歳から始めても遅いということはありません。

もちろん、子供の頃から始めれば、それだけ上達しますが、大人になってからでも、できることはたくさんあるし、練習すればそれなりに上手くなるものです。


今まで仕事や家事に追われて、気づいたらな~んにも趣味がなくて、老後どうしようかぁ、と、少しでも思ったら音楽(歌でも良いけど、出来れば指を動かす楽器)を始めてみませんか!


楽しく、豊かで、充実した老後が送れること、間違いなし!です。

 


長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。


Studio Japins Jouantでは、シニア向けのコースもご用意しております。

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