前回 反射光低減コートには膜厚管理が大切! というお話をしました。
では、目標の膜厚からどの程度にバラツキを抑える必要があるのでしょうか。
まず、ベストな膜厚というのはどのくらいの膜厚なのでしょうか?
これは、最も反射光減させたい波長の1/4の厚さになります。
この時の厚さは「光学厚さ」と呼ばれる数字で、物理的な厚さに屈折率をかけたものです。
ですから、物理的な厚さを「d」、物質の屈折率「n」、波長を「λ」としますと、
nd=λ/4 という関係が成立する膜厚「d」がベストなのです。
d=λ/4*n ということですね。
では、最も反射光が少なくなるのをどの波長に設定したらいいのでしょうか?
赤い光? 緑の光? 青い光?
実は人間の目が一番感度がいいのは550nmあたりの波長(緑の光)なのです。
だから高速道路の看板は緑なんですよ。人は緑をいち早く感じることができるのです。
正確に言うと明るい場所と暗い場所では少し違います。
次の図を見てください。暗い時には少し短い波長の方にずれてますよね。
薄暗くなってくると赤い色が見え難くなったり、青い色が見えやすくなったり、
そんな経験はありませんか?
それは、これが原因なんです。
青い線が明るい場所での感度、赤い線が暗い場所での感度です。
今回の膜厚の管理のお話は、この人の目を考えた場合に絞ってお話します。
CCDで光を受けるような場合はまた違った考察をする必要があります。
ベスト膜厚 フロロサーフの屈折率を1.4とします。
人の目の感度は550nmにピークがありますので d=98nm≒0.1μm となります。
ベスト膜厚は0.1μmなんです。
50%薄い場合 ベスト膜厚から50%薄くなってしまった場合(膜厚0.05μm)の反射率は
下のグラフの緑の線です。この時、人の目には
反射光低減効果が半分になってしまった ように感じます。
なお、黒い線はベスト状態です。膜厚が薄くなるにつれて、
黒→赤→青→緑 と変化していきます。
50%厚い場合 ベスト膜厚から50%厚くなってしまった場合(膜厚0.15μm)の反射率は
反射光低減効果が半分になってしまった ように感じます。
同じように、黒→赤→青→緑 と変化します。
このように、人が 反射光低減効果が半分になったぞ! と感じる程度までを許容するとすると、
ベスト膜厚 ± 50% (0.1μm ± 0.05μm)
に膜厚を管理する必要があるのです。
±0.05μmはかなり厳しい数字のようにも見えますが、ディップコーターなどを使えば、
十分に管理可能な膜厚バラツキといえるでしょう。






